対象:住宅・不動産トラブル
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中古マンション購入後の瑕疵発覚について
あかぱん様
はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。
ご質問いただきました件ですが、カーテンが膨らむほどの隙間風があるクラックは
構造に問題がある可能性が高いと思われます。
こういった傾きやクラックに関しては、地盤の強度に対して不適切な基礎の選定などが、
「建物の基礎の瑕疵」とされるケースがあります。
東京地裁で平成24年にあった判例では、中古建物の不同沈下による傾斜を、
基礎の瑕疵が原因としています。
そのうえで、補修することにより居住用として利用可能であるため契約の
解除はできないが、因果関係のある調査費用とジャッキアップによる
補修費用など2千万以上の賠償が命じられたというものです。
また、10年ほど前の判例では、約1000分の8の傾斜を「瑕疵」と判断し、
それ以下の1000分の5の傾斜であっても「瑕疵」と認定される可能性が
あるといえるような内容のものがあったと思います。
しかしながら、一般的な個人間の中古マンションの場合、瑕疵の範囲を
建物の専有部分における一部の隠れたる瑕疵に限定していることが多く、
それ以外の建物の瑕疵や土地の瑕疵、共用部分に原因がある瑕疵について、
責任を負わないとしていることが多いです。
また、基礎の選定や改良工事の問題を指摘できない場合は、単なる土地の瑕疵
として扱われることが殆どです。
大きな地震によって沈下が生じた場合は、不可抗力そして瑕疵ではないと
考えられますし、小さな地震であっても、建物の基礎でなく土地の瑕疵と
言えますので、東日本大震災を含めた経年的な要因を主張する可能性は
高いと思われます。
2~3年前の裁判例でも、中古建物の傾斜について、建築会社に補修費用の
支払いは認めたものの、建物の瑕疵及び売主の瑕疵担保責任は否定された
という判例があったと記憶しています。
つまり、建物の傾きに関しては、その原因の究明と傾きの程度など、
個別に検証をした上で慎重な対応が必要ですし、マンションとなると
責任の範囲についてもより請求が通りづらい展開が予想されます。
先に説明しました、補修費用など2千万以上の賠償が認められた裁判でも、
当初、傾斜の原因や補修方法の調査に100万以上をかけ、そのうえで
調査費用も実損として請求していたような流れだったはずです。
なお、これも10年ほど前の判例ですが、建物としての基本的な安全性を損なう
瑕疵がある場合には、設計・施工者等に瑕疵の修補費用相当額の損害賠償を
請求することができるとあります。
「基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、居住者等の生命・身体又は財産に対する
現実的な危険性を生じさせる瑕疵です。
軟弱地盤に起因することであっても、建物としての基本的な安全性を損なっている
可能性はあります。
これも原因や程度によって個別な判断が必要でしょうが、そういった原因追及を
明らかに認識していたであろう売主へ請求できるものか、または管理組合の議題
として取り上げ、調査などをできるものか、弁護士等の専門家に判断してもらう
動きは必要かと感じます。
弁護士等の法の専門家と言っても得意・不得意はあります。
ここで挙げました判例などは有名なものですので、相談先の力量の判定に、
最低限こういった判例の知識があってのアドバイスがあるかどうかなどを、
判断基準にしてみては如何でしょうか。
以上、ご参考になりましたでしょうか。
アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/ 藤森哲也
回答専門家
- 藤森 哲也
- ( 不動産コンサルタント )
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
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この回答の相談
お世話になります。
築16年のマンション、売主は個人です。
住んでから、床の傾き、壁のクラック、一箇所の窓付近からの隙間風がわかりました。
床の傾きは、隙間の処理から見て建物… [続きを読む]
あかぱんさん (東京都/55歳/女性)
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