私のコラムのファンの方からご相談を受けました。
「大澤先生の核心をつく回答に、いつも納得しすっきりしています。」と素敵な感想もいただきました。
私も思わず考えてしまう相談でした。
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家族(親・姉妹)とうまくいきません。
もし私がクリティカルシンキングを受講し、だんだんと学んでいけば、この親や姉妹との関係(大きく言えば人間関係)も論理的に考えることが出来るようになりますか?
今はただひたすら、親や姉妹に言いたいことも言えず、我慢したり泣いたりして耐えているだけです。それが酷くなるとパニック障害を診断される状態になります。
出来れば投薬による治療ではなく、生き方考え方そのものを変えて、治していきたく、もしかしたらクリティカルシンキングで何か変わるんではないかと、思い相談しました。
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まず、短い答えから:
「はい変わります。」
考え方が大きく変わるので、生き方そのものが変わって来ます。
長い答えは:
「あなた次第です。」
ここから先は個々に異なる条件、状況から答えを導き出すようになります。
なぜ、2種類の回答になるかについて順を追って説明します。
クリティカルシンキングの基本はすべての事に対して「なぜ?」を考える能力です。
人間関係だけでなく、自然界も含めて、自分そして周りで起こることにはすべて理由があるはず。
その理由に興味を持ち、積極的に探究していく思考法がクリティカルシンキングです。
「なぜ?」を感じる能力は、受け身で生活するのではなく、何にでも積極的に好奇心を持ち観察することから生まれて来ます。
その「観察」をもとに、「なぜ?」を考えるので、今まで気がつかなかったことが見えて来るし、今まで勘違いしていたことにも気づいて来ます。
良い事も悪いことも含めて、非常に性能のいいメガネをかけたように、見方が大きく異なって来ます。
家族の行動についても理解の仕方が変わって来ます。
その結果、あなたがどう行動するかはあなた次第ですが、全体像が見えている分、優位な気分になり情緒の安定には役に立つかも知れません。
「なぜ?」を考える過程も、別に難しい哲学的なことではなく、単に物事を具体的に説明するだけだと気がついてきます。
ここが日本人の大きな勘違いでしょうね。
「英語圏の者の考え方が面倒くさい。 いつもWhy? Why? ばかり聞いて来る。そんな事毎日やってたらしんどい。」とは、高校の英語の先生の口から出た言葉です。
あらら、こんな人が英語を教えていいのか!?と驚きました。
「なぜ?」は、物事を明確に定義し、具体的にわかりやすく理解するための必須のツールです。
そして、そのツールを使う媒体が英語という言語です。
「なぜ?」をうっとうしいと思ったら英語は絶対理解出来ません。
このように「なぜ」をうっとうしいと思う日本人とあなたとの間には明らかな違いが生まれます。
クリティカルシンキングを理解し、「なぜ?」を楽しむあなたと、「うっとうしい」と思う他の人たちと。
その違いをどんどん押し出していくか、隠していくかは、あなた次第です。
物事には多種多様な見方があることを理解し始めます。
教科書に書いてあったり、学校で教わったり、或いは「。。。が言っていた」「みんなそうするから」が絶対唯一の答えではなく、ありとあらゆる可能性を考える能力が身につきます。
単にひとつやふたつの先例だけで、「そういうものだから」と決めつけることがなくなります。
「家族とはそういうものだから」という誰が作ったのかわからない理由で、行動を判断することもなくなります。
そのクリティカルシンキング能力を家族関係にどう生かすかは、あなた次第です。
恐らく親も姉妹も依然として固定観念の中で、あなたを判断しようとするでしょうからね。
さて。。。
100%明確な答えなどないことに気がつきます。
(今日の回答も同じですね。)
問題集の答え合わせで育つ日本人には、なかなか受け入れられない考え方です、実は。
「教師なのに答えがわからない!?」「医者のくせに治るかどうか言ってくれない。」
「親の言うことを聞いていれば幸せになれる?」
誰にも答えはわかりません。
これが人間にとって一番耐え難いことです。
「不確定な中で生きていく」わけですから。
「誰か答えをくれ~~!」と叫びたくなります。
そのための答えを「みんなと同じことをする」ことに必死で見出しているのが日本だと思います。
しかし、クリティカルシンキング能力があると、どうやったら一番可能性の高い答えに近づけるかがわかります。
自分のことを、論理的・客観的・科学的・批判的に分析することが出来るので、その時々に賢明な判断をすることが可能になります。
もしその判断が間違ったら?
また最初の「なぜ?」に戻って積極的に考え、前向きに生きていくことが出来ます。
「みんなに従う」のではなく、自分のことは自分で決める能力が出来ます。
その能力がある人は「幸せ度」が一番高いと、多くの心理学の研究が証明しています。
さて、どうでしょう。
「考える」勉強で脳を満足させてみることから始めますか?
「考える」行動は、脳を活発に起動させるので、「パニック」になる余裕がなくなるかも知れませんよ。
Cheers!
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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