ある会社の社長さんから、「管理職クラスが新人の若い社員のやる気を削いでしまう」というお話をうかがいました。聞けば、「そんなことやっても“どうせ”無駄だ」「そんなお客は“どうせ”契約に結びつかない」など、悟ったような話を訳知り顔で若い社員たちにするのだそうです。
善意で解釈すれば「効率を考えている」ともいえますが、私はこの「どうせ・・・」という言葉が気になります。特に会社や仕事の場面で言われる「どうせ・・・」の後には、だいたいが「無駄だ」「止めよう」「あきらめよう」「仕方がない」など、現状をネガティブに捉える言葉がつながるからです。
“どうせ○○だから・・・”といって行動することをやめ、思考を停止します。自分と周りのやる気や熱意を消してしまいます。他責や一方的な不満につながることもあります。
「どうせ・・・」という言い方が口ぐせになっている人がいます。個人の場合もあるし、組織全体がそうなっていることもあります。
言葉というのはとても大事で、言い続けると自己暗示にかかります。「無理だ無理だ」と言い続けると本当に“無理”になります。一方「できるできる」と言い続けたからといって、本当に“できる”かはわかりませんが、少なくとも“できる”ようにするための行動は続けます。
こんな風に「言葉を変えると行動が変わる」という面があります。ネガティブな口ぐせというのは、意外に本人が無意識のうちに出てしまうものですが、これを意識して変えるだけで、行動はずいぶん変わってきます。口ぐせに気づいて、それを言わなくするだけでもずいぶん違うはずです。
こちらの会社でも、この「どうせ・・・」発言を止めてみるだけで、実は問題の多くが解決されるような気がします。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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