(続き)・・さて我々は大切なビタミンCを、毎日どのくらい摂取すれば良いのでしょうか。厚労省の推奨する摂取量は1日100mgですが、これは壊血病にならないための最低限の量であり、ガンなど様々な病気を予防するには到底足りません。最新の研究では、最低でも1日300mgかそれ以上は摂る必要があるとされています。またガンなどの病気がある方の場合は最低1g以上、可能ならば2~3gかそれ以上を摂ることが勧められます。
ビタミンCに限りませんが、ビタミンやミネラルなど栄養素の摂取量に関して、欠乏症を予防し最低限の健康状態を維持する程度の量を「栄養学的用量」といいます。ところがそれより遥かに多量に用いた場合には、最低限の投与量では全く期待できないような医療上あるいは健康上の効能を得ることが可能となります。これはビタミンCに関していうと2~3g、あるいはそれ以上の投与量に相当します。
1日100~300mgレベルの栄養学的用量では、多少疲れにくくなる程度の効果はあるかも知れませんが、それ以上の効能は期待できません。これに対して1日2~3gレベルの薬理学的用量となると、風邪やインフルエンザからの快復を早める、肌の潤いや張りが良くなる、肩凝りや痛みが軽減する、などの明らかな臨床的効能を感じることが可能となります。ビタミンCがいわば「薬物」的な働きをするようになるのです。
さらに50~100gという「超大量」レベルのビタミンCとなるとガン細胞への攻撃力が発揮され、ガン治療にも活用されるようになります。超大量のビタミンCは体内で過酸化水素を産生しますが、これは正常細胞には何の悪影響も及ぼさない一方、ガン細胞を盛んに殺傷します。この性質を利用して、米国や日本などの一部のクリニックでは「高濃度ビタミンC点滴療法」に取り組み、たいへん優れた結果を挙げています。
現実の生活では、100mg程度のビタミンCを摂取するのは容易なことです。ミカンを2~3個、キャベツを200gも食べれば達成してしまいます。300mgの場合にはこの3倍の摂取です。これに対して2~3gも摂るにはさらにこの数倍から十数倍も食べなければなりません。ミカンの個数にすると数十個から百数十個に相当しますが、実際の食生活ではかなり困難を伴うのではないでしょうか。
薬理学的効果を狙ってビタミンCを毎日2~3gも摂ろうと考えた場合、食事だけで間に合わすのは不可能ではないにせよ、かなり大変なことです。そこで必要に応じ、良質なサプリメントを積極的に利用することが勧められています。可能な限り野菜や果物などの食品で摂取し、足りない分をサプリメントで補うというスタンスで、必要充分なビタミンCを摂ることが健康の秘訣の一つといえそうです。
このコラムの執筆専門家

- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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