- 茅野 分
- 銀座泰明クリニック 院長
- 東京都
- 精神科医(精神保健指定医、精神科専門医)
-
03-5537-3496
前回まで「女子の発達障害」に関する概要と「認知の歪み」について臨床の現場より報告いたしました。教科書的には「二次障害」と呼び、「一次障害」である「自閉・固執・過敏/鈍感」などに続く、「不安・躁鬱、摂食障害、醜形恐怖、パーソナリティ」のことを意味します。
いずれも思春期・青年期に顕在化、むしろ二次障害より一次障害をさかのぼり、診断することも少なくありません。二次障害に対し、悪戦苦闘していた方々と、視点を変え、「ところで」と「発達歴」に話を向けると「そう言えば」と一次障害について語られるのです。
特に、思春期、小学校高学年、中学・高校生の頃「集団不適応」「自己同一性不全」として事例化することが多いように見受けます。具体的には「イジメ被害・仲間はずれ」「本当の自分探し/摂食障害など」として「事例化―医療化」するようです。
「摂食障害」は「拒食症」と「過食症」に大別されますが、「拒食症/自閉症」「過食症/多動症」にて生じることが多い印象です。過食症はダイエットの意識から「飲酒・喫煙、性的逸脱」などで置き換わる場合もあります。いずれも背景には「自己同一性不全、本当の自分探し」が潜んでおり、それを求め、自らを深く探るか、他者や物質へ依存するかの精神病理が想定されます。
「自己同一性不全」が解消されず、青年期・壮年期まで至ると「自己愛性パーソナリティ」「境界性パーソナリティ」まで進展することがあります。すなわち「私は最高」と「自分を実際以上に見せよう」として尊大な態度をとったり、「私は最低」と「自分の存在価値が分からなくなり」希死念慮や自傷行為まで至ることもあるのです。
従って、大事なことは、やはり「早期発見・早期治療」です。理想は幼少期、遅くとも思春期までに精神病理を的確に診断し、必要十分な治療・介入をすることです。これにより、二次障害を最小限にすることができます。それには、上記の疾患の症状の詳細や発症の機序などを理解しておくことが必要です。改めて精神医療の啓発が求められる次第です。
このコラムの執筆専門家
- 茅野 分
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