「窃盗症 クレプトマニア Kleptomania」 とは - 心と体の不調全般 - 専門家プロファイル

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閲覧数順 2022年12月08日更新

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「窃盗症 クレプトマニア Kleptomania」 とは

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高校時代から必要でもないのに、お店に入ると商品をカバンに入れてしまいます。持って帰って後は使うことなく、部屋に置き放しです。先日、見つかり、警察署へ連れていかれました。自分でも悪いことだと分かっているのに止められません。どうしたらいいのでしょう。(36歳、女性)

「窃盗症 Kleptomania クレプトマニア」とは、「抵抗困難な窃盗衝動」を特徴としています。その「不合理性(了解不能性)」「反復性」の二点をもって病的とされています。不合理性とは、盗んだ品物自体には必要性は価値を認めず、購入する金銭を所持しているにもかかわらず窃盗行為することです。それでは何のために行うのでしょう?それは「盗む」ためとしか言いようがありません。

アメリカ精神医学会(APA. American Psychiatric Association) DSM-5(Diagnositic and Statistic Manual of Mental Disorders , Fifth Edition) によりますと、下記の診断基準が定義されています。

A. 個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗ろうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される
B. 窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり
C. 窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感
D. その盗みは、怒りまたは報復を表現するためのものではなく、妄想または幻覚への反応でもない。
E. その盗みは、素行症、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。


すなわち、経済的ではなく心理的な目的のために行われるわけです。窃盗症はDSM-5によると「秩序破壊的・衝動制御・素行症群」に分類され、他には「放火症」「素行症」などが含まれています。伝統的診断においては「衝動性制御障害」としいて「病的賭博(ギャンブル依存)」「買物依存」「性依存(のぞき、痴漢、強姦、売買春など)」「抜毛症」「収集症」などがあります。いずれも「衝動性」を特徴とし「あらかじめ考えられた動機ではなく、駆り立てられるような心理により、目的意識を持たず、ただちに実行し、遂行すると深い満足を覚える」ことを特徴とします。

背景として想定しうる精神疾患としては、統合失調症、気分障害、強迫性障害などが指摘されており、神経科学的にはセロトニン、ドパミンなどの関与が指摘されています。従って、"SSRI. Serotoni Selective Reuptake Inhibitor" "DSS. Dopamine System Stabilizer" そして "SDA. Serotonin-Dopamine Antagonist" などの薬物が効果的と考えられています。

心理療法としては、衝動に抵抗し、窃盗により生じるマイナスのイメージを思い浮かべ、別の行動を選択するような「行動療法」、衝動の背景にある気持ちを書き留めていく「認知療法」が推奨されています。さらに幼少期など振り返り、独りで寂しかった思い(孤独感)や心が虚しかった気持ち(虚無感)などに気づき、今後の生活や人生につなげていけるとよいでしょう。なお、当院では短期集中効果を期待し、「内観療法・集中内観」も推奨しております。

注意すべきことは、周りがとかく「手癖が悪かった」とか「躾が甘かった」とか批判に終始しないことです。多少は「家族歴・生育歴」の問題はあるでしょうが、これは「脳と心の病気」であり、治療を必要とする状態であることを社会が認識することです。さもなくば社会的な偏見と差別ばかりが横行して、必要な診断・治療が行き届きません。これは昨今、話題になっている覚醒剤などの薬物依存と同様ですし、ようやく社会的な認知を得られてきたうつ病をはじめとした精神疾患と全く同じ次元の論理です。ただ、司法が関与するかどうかという点のみです。これを機に社会の認識が変わり、本当に「優しい社会」が訪れることを期待します。

最後にこの病気が日本社会で話題となったマラソン選手・原裕美子さんの物語をご紹介して終わりましょう(リンク先が削除されていたら申し訳ございません)。

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