- 辻 良史
- 筑波大学発ベンチャー(株)サイバー・ヨガ研究所 代表取締役
- 東京都
- 博士(体育科学)
無敗脳ヨガ道場の辻です。
ヨガの呼吸法は、リラックス目的に活用されているケースが大半といえます。
これは、近年の生理学的研究により、息を吐いている時に副交感神経の働きが優位になり、
心拍数が低下し、リラックスできるという数々のデータが明らかになって以来その傾向が強まってきました。
ですので、当然、生理学的に、吸う時間より吐く時間を長くすれば一時的にリラックスできます。
そして、吸う息に対して吐く息が、1:2(5秒で吸って10秒で吐く)の呼吸法がメジャーになり、
ヨガの呼吸法は、リラックスに良いというイメージが定着しました。
このことが実は、呼吸法の本質から離れていってしまった原因だと私は考えています。
お釈迦さんが、おっしゃっていたように重要なのは、
呼吸している時に息が入ってきたり、出ていったりすることに意識を集中させるポイントです。
つまり、
呼吸を通じて、「今ここ」に意識を集中させることが真意であり、
副交感神経の働きが高まるというのはあくまでも結果論でしかないということです。
呼吸法がリラックスに効果的であるという考えから、
メンタルトレーニング分野では、主流の技法として活用されるようになりましたが、
実際はアスリートのパフォーマンス向上にはほとんど役に立っていないのが現状といえます。
それは、
多くのアスリートが呼吸法をしながら、
競技がうまくいくかどうか?失敗しないだろうか?などと「今ここ」に集中していない状態で行っているからです。
一時的に心拍数は下がりますが、数分後にまた元の緊張状態に戻ってしまいます。
ですので、
一時的なリラックス目的に呼吸法を行うのではなく、
日常的な呼吸法の実践で、常に「今ここ」に集中する脳の習慣をつくっておくことの方が重要といえます。
実際、ヒマラヤなどの高地では、いくらリラックス用の呼吸法を行っても、
酸素が薄いため、心拍数は常に高い状態で、とてもリラックスなどできません。
このことからも、本来、呼吸法はリラックス目的に行われていたわけではないということが伺えます。
本日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。
東京都 港区 田町【無敗脳ヨガ道場】辻でした。
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