【コラム】再転相続の際の遺産分割
例えば,【事例】の甲に妻乙以外の女性との間に子(己)がいた場合に甲が死亡すると,その相続人は妻乙と子丙,丁,己になります。この相続後,遺産分割をする前に妻乙も死亡してしまった場合には,その相続人は丙,丁になります。 このような状況で,丙,丁,己はどのように遺産分割を行えばよいのでしょうか。 この点を明らかにした判例が,最決平成17・10・11民集59巻8号2243頁です。 まず,相続開始後,遺産分割前の共有は民法249条以下に規定する共有と性質を異にするものではないことを改めて確認しました。そして,共同相続人が取得する遺産の共有持分権は,実体法上の権利であって遺産分割の対象になるとしました。つまり,遺産分割は一括して行いますが,観念的には,それぞれの相続についての具体的相続分を算定して,それぞれの相続についての共有持分権を対象とする遺産分割を繰り返すべきことを明らかにしました。先にあげた例でいえば,死亡した乙は,甲の遺産の共有持分権を取得しており,これを考慮して遺産分割が行われることになります。乙に特別受益がある場合には,その相続人である丙,丁は,特別受益を考慮した上での具体的相続分の限度で乙が有していた甲の遺産の共有持分権を取得することになり,これを考慮して遺産分割が行われることになります。 |
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