7 遺留分減殺請求権行使の方法
遺留分減殺請求権は,必ずしも裁判上行使する必要はなく,遺贈等を受けた者に対して,意思表示することをもって足ります(最判昭和41・7・14民集20巻6号1183頁)。
相続人の一部の者に全財産が遺贈された場合における遺産分割協議の申入れには,特段の事情のない限り,遺留分減殺請求の意思表示が含まれていると解釈されます(最判平成10・6・11民集52巻4号1034頁)。相続人の一部の者に全財産が遺贈された場合,遺留分減殺請求権を行使しなければ,遺産分割の対象となる財産が存在せず,したがって遺産分割協議の申入れもすることができないためです。
これに対して,遺言や生前贈与の無効の主張には,原則として遺留分減殺請求の意思表示を認めることはできないものと考えられます。なぜならば,遺留分減殺請求は有効な遺贈や生前贈与によって相続財産から離脱した財産の回復を目的とするものであり,遺贈や生前贈与が有効であることを前提にしていると解されるためです。
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