- 辻 良史
- 筑波大学発ベンチャー(株)サイバー・ヨガ研究所 代表取締役
- 東京都
- 博士(体育科学)
「ストレスに負けない脳」とは、一体どのような脳なのでしょうか?
サイボーグのように冷酷無比な人間の脳をイメージされるでしょうか?
意外に思われるかもしれませんが、
ストレスを受けた時の人の体は、心臓がドキドキしたり、手に汗をかいたり、呼吸が速くなったりと、基本的な反応はほぼ同じです。
それでは、いわゆるストレスに強い脳の持ち主とはどういう方なのでしょうか?
それには、ストレスを受けた時の脳の状態について簡単に説明させていただきます。
まず、外から刺激(ストレス)が入ってきたとき、
①脳がその刺激を感知する
②脳がその刺激がどういうものか分析する
②脳がその分析結果をもとに行動を起こすように体に指示する。
「ストレスに負けない脳」を手に入れるには、②の分析過程がとても重要になってきます。
例えば、
自分のグラスの中のドリンクに目を移したとき、
もう、これだけしか残っていないと思うか…
まだ、こんなにも残っていると思うか…
同じドリンクの量でも人によって受け止め方は変わってきます。
これは、ストレスにも同じことがいえます。
つまり、同じストレスでも人によって、受け止め方、感じ方が異なってくるのです。
脳は、その刺激をストレスとして判断した場合、心臓をドキドキさせたり、呼吸を早めたりさせます。
これは、自律神経の交感神経の働きが高まるためです。
ストレスに対して戦おうとか逃げようとするとこのような状態になります。
これは、動物時代から受け継がれた名残で、
敵(ストレス)と遭遇したとき、瞬時に戦いに備えたり、早くその場から逃げれるようにするために備わっている防衛システムなのです。
逆にいいますと、基本的にどんな刺激(ストレス)が飛び込んできても、前向きに捉えることができれば、脳はその刺激をストレスとして判断しなくなります。
結果、交感神経も過剰に働かなくなるようになります。
そして、その方は、「ストレスに負けない脳」の持ち主といえます。
ですので、「ストレスに負けない脳」を入手するには、ストレスに対する捉え方を改善していく必要があります。
これには、普段からの意識づけや、訓練が必要になってきます。
また合わせて、ストレスを受けた状態からもとの安静状態に早く戻れるようにするリカバリー・トレーニングも必要です。
すでにストレスフルな状態の場合は、身体化したストレスをまずはヨガなどのリラクセーション・トレーニングで取り除いていきます。
海外のスポーツ選手などはこういったトレーニングを早い段階から受けていますので、逆境でもストレスに強い傾向にあります。
また、日本人は、欧米人に比べ、不安に関連する遺伝子が多いことも近年、わかってきました。
ですので、日本人は、意識的にメンタルを強化するトレーニングを積む必要性があるといえます。
- サイバー・ヨガ研究所 代表 辻 良史 -
このコラムに類似したコラム
★武道・武術専門誌「秘伝」(全国誌)の取材★ 辻 良史 - 博士(体育科学)(2013/06/04 06:52)
本当に「自律神経失調症」ですか? 辻 良史 - 博士(体育科学)(2013/04/07 06:00)
ストレスに強くなる方法はあるのか? 辻 良史 - 博士(体育科学)(2013/03/28 19:16)
見える「ここ一番!」と見えない「ここ一番!」◎無敗脳ヨガ道場◎ 辻 良史 - 博士(体育科学)(2012/11/29 20:18)
競技&仕事中のメンタルコントロールについて◎“無敗脳”ヨガ道場◎ 辻 良史 - 博士(体育科学)(2012/11/04 15:55)