贈与をしても贈与税が課税されない場合って? - 相続税 - 専門家プロファイル

近江 清秀
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贈与をしても贈与税が課税されない場合って?

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<事例>
A(母)とB(娘)は、X(Aの亡夫)から土地甲を1/2づつ相続しました。
その後、Bが事業に失敗し多額の負債を負うことになりました。

ABがそれぞれXから相続した土地甲を売却しても負債の全額返済には
足りませんが、それでも土地甲を有効活用して少しでも返済したいと
考えています。

そこで、Aが甲土地の持分を売却する方法・Aが甲土地持分を放棄する
方法が考えれらえますが、それぞれの場合の課税関係を教えてください

<解説>
まず、一般的に考えられるのがAが甲持分を売却して売却代金をBに
贈与する方法だと思います。

しかし、この場合Aの譲渡所得には所得税が課税されます。
事例の場合、Xから相続により取得した土地なので長期譲渡所得としても
譲渡所得に対して20%が課税されます

そこで、Aが持分を放棄する方法が考えられます。
全体のストーリーとしては、以下のとおりです

Aが相続により取得した甲の持分を放棄します。この場合放棄した持分は
Bに帰属することになります(民法255条)

『共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人が
 ないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。』

この場合、Aの持分放棄については譲渡所得の課税はありません。
さて、次にBに対する課税関係を確認すると

一般的には、Aの持分放棄によりBに帰属した甲土地の持分について
贈与税が課税されます。

しかし、今回の事例では贈与税も課税されません
BはAから得た経済的利益によっても負債の全額を返済することが
できず、BとAは扶養義務の関係にあるからです
(相続税法9条但書、民法877条)

なお、この場合Bに対して贈与税は課税されませんが
所得税も課税されないと考えられます。

相続税法9条但書
『ただし、当該行為が、当該利益を受ける者が資力を喪失して債務を
弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者から
当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、
その贈与又は遺贈により取得したものとみなされた金額のうち
その債務を弁済することが困難である部分の金額については、
この限りでない。』

民法877条
『直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。』


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