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配偶者居住権、配偶者の死亡(いわゆる二次相続)での課税関係は生じない。

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配偶者居住権につき、財務省が「令和元年度 税制改正の解説」で見解を示した。

改正相続税法のうち配偶者居住権は、令和2年4月1日以後開始の相続から適用される。

配偶者居住権については、令和元年度税制改正で相続税法によってその評価方法が定められたが(相法23の2、相令5の8、相規12の2~4)、配偶者居住権を有する配偶者が死亡した場合(いわゆる二次相続の場合)、配偶者居住権は消滅するものの、配偶者の相続税の計算上、配偶者居住権を加味する必要はないのか等の取扱いについて、7月3日付で財務省が公表した『令和元年度 税制改正の解説』において、その見解が示された。

この『解説』では、「配偶者居住権に関するその他の取扱い」として、配偶者が死亡した場合には民法の規定により配偶者居住権が消滅し、居住建物の所有者はその居住建物について使用収益できることとなるとした上で、これは民法の規定により配偶者居住権が消滅するものであり、配偶者から居住建物の所有者に相続を原因として移転する財産はないため、相続税の課税関係は生じないとする見解を示した。

 この見解について財務省は、居住建物の所有者が使用収益することが可能となったことを利益ととらえ、その居住建物の所有者に対してみなし課税をするという考え方もあるものの、次の事項を踏まえれば、課税の公平上問題があるとも言えないことから、みなし課税(相続税法第9条)をする必要はないとした。

① 配偶者の生存中存続し、死亡に伴い消滅するという権利関係が生じるのは、民法に定められた配偶者居住権の意義そのものに由来する

② 居住建物の所有者は、配偶者居住権の存続期間中は自らの使用収益が制約されるという負担を負っている

③ 相続税法に定められた評価方法の考え方からすれば、その負担は存続期間にわたって逓減するものであり、配偶者の死亡時にまとまって解消されるのではない

 「配偶者は、その死亡による配偶者居住権の消滅の時に、当初設定した配偶者居住権に基づき建物の使用収益の完了に至ることから、移転し得る経済的価値は存在しないと考えられ、相続税法第9条の規定の適用もないと考え」るとした。

 配偶者居住権の評価に用いる存続年数は原則として平均余命によることとされているが、実際には、配偶者は相続税の課税時期における平均余命より早く亡くなる場合もあれば、それより長く生存する場合もある。課税時期に想定された平均余命による評価額と実際の死亡時期を用いた事後的な評価額とでは結果的に差を生じることとなる点について、「平均余命による評価は、課税時期における最も合理的な評価方法であると考えられることから、この差を生じたことに伴い事後的に税額を調整する必要はないものと考えられ」るとしている。

 ※配偶者居住権の存続期間が終身ではなく10年等の有期で設定され存続期間が満了した場合も同様とされる。

※「配偶者より先に所有者が死亡した場合」の取扱いについては、この場合、配偶者居住権は存続中であるため、居住建物の所有権部分の評価においては、相続税法上に定められた通り配偶者居住権の価額を控除することとしている。

 配偶者による放棄や所有者との合意解除した場合などの事由により、配偶者居住権の存続期間の満了前に配偶者居住権が消滅するときは、居住建物の所有者は期間満了前に居住建物の使用収益ができることになる。この場合は配偶者居住権が消滅したことにより所有者に使用収益する権利が移転したものとされ、配偶者から贈与があったものとみなして(相続税法第9条)、居住建物の所有者に対して贈与税が課税されるとした。

 

国税庁 令和元年度税制改正の解説「相続税法の改正」

https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2019/explanation/pdf/p0492-0509.pdf#page=12

国税庁 令和元年度税制改正の解説「租税特別措置法等(相続税・贈与税関係)の改正」

https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2019/explanation/pdf/p0510-0556.pdf#page=30

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