家造りに失敗する例として最も多いのは、全てを業者任せにしてしまう事です。
業者のする事を疑って掛かりなさいと云っている訳ではありません。幾ら建築のプロでも建築主さんに協力して貰わないと出来ない部分があると云う事です。
建築には数字で表現出来る定量的な要素と、数字で表現出来ない感性が支配する定性的な要素が含まれます。定量的な分野(耐震性能や温熱性能・省エネ性能等々)は建築の専門家に任せておけば望み通りに仕上げてくれます。長年培ってきた経験や知識でどうにでもなる分野です。
しかし、定性的な分野はそう云う訳には行きません。和風が好みなのか洋風が好みなのか、どんな色が好きなのか、人間関係はどうなのか、生活習慣はどうなのか、そう云った分野は幾ら建築のプロでも毎回が初体験なのです。以前に似たような感性をお持ちの人の家を造ったと云う経験はしていますが、人の顔が全て違う様に瓜二つの感性の持ち主なんていません。
この定性的な分野については、積極的に家造りに関与して貰わないと、「相手はプロだから任せておけば良い」と思い込んでしまうと、建てる人にとって都合の良い家になってしまい、住む人にとって都合の良い家には決してなりません。
専門家任せにして失敗する原因で最も多いのがこのタイプの失敗です。
このコラムの執筆専門家

- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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