- 岸井 幸生
- LBA会計事務所 代表
- 東京都
- 公認会計士・税理士
-
03-6272-6771
対象:税務・確定申告
- 平 仁
- (税理士)
こんにちは。
公認会計士の岸井です。
会計士が企業や団体の会計を監査する際に拠り所となるものが「監査基準」です。
オリンパスや大王製紙の問題が発生していたのにも拘らず、監査で見抜けていなかったため、監査基準を改定してしっかりとした監査をやろうという動きです。
世間の認識は、
「会計士が監査していたのになぜ不正が見つからないんだ」
↓
「能力が低いか、会社とグルだったかどっちかだろ」
↓
「そんな監査じゃ意味ない」
というものです。
でも、これが誤解、といいますか、そもそもそういう目的で監査を行っていないので、
実際の制度と世間の期待が大きくずれてしまっているのです。
監査制度は、「見た人が間違わない程度に正しい決算」であることを証明する制度で、
不正を暴く検察の捜査とか、脱税を指摘する国税のいわゆるマルサとはかなり立ち位置が違うのですが、
多くの人は同じようなイメージで見ています。
私が監査の勉強を始めた10数年前であっても、すでにこの期待と制度のギャップは問題になっていて、
その時々の国内外の大きな事件の後にクローズアップされ、監査基準が変わり、
また事件が起きて、監査基準が変わりを何度か繰り返しています。
それでも粉飾はなくならず、期待とのギャップは解消されないということは、
もはや「見た人が間違わない程度に正しい決算」であることなんてもので納得していないということです。
「不正がない」というところまで言えるくらい強力なものにするしかないと言っている人もいます。
同意する人も多いことでしょう。
一方で監査の現場では、どれだけやっても「不正ゼロ」はこわくて言えないという立場になります。
家庭内ですら、子供のイタズラを全て把握することが出来ないのですから、
大きな会社の小さな不正まで把握することはまず不可能なのです。
監査される会社側も結構な負担を強いられるでしょうから、これも難しい。
結局、監査基準は少し厳しくなったり手続が増えたりするのでしょうが、
それをもって粉飾がなくなることはなく、次の事件を迎えることになるでしょう。
監査の業界はマニュアルに頼りすぎてきたと私は思います。
マニュアル通りにやっていればOK、やっていなかったらNG。
昔より効率的である半面、思考能力が低下してしまっているでしょうね。
歴戦の会計士である、この会議のメンバーのひとりがこんなことを言っています。
「余談だが、自分が監査をしていて不正があると分かったとき、その会社の役員を部屋に缶詰にして絶対に出さないようにし、自白するまで追求したことがあった。また、3晩にわたって倉庫の張り込みを3交代で出して、不正を摘発したこともある」
「会計士は不正を摘発する気概がないのか。監査基準の問題だけではなく、意識の問題も大きい」
こういう感覚が真のプロフェッショナルだと思います。
が、うるさいオヤジがまた小言言ってるよ、くらいにしか思われないのかなぁ。。。
このコラムの執筆専門家
- 岸井 幸生
- (東京都 / 公認会計士・税理士)
- LBA会計事務所 代表
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