- 国府谷 明彦
- カウンセリングセンター聴心館 聴心館館長
- 東京都
- 厚生労働省認定 産業カウンセラー
対象:心の病気・カウンセリング
- 斉藤ヒカル
- (潜在意識セラピスト)
- 快眠コーディネイター 力田 正明
- (快眠コーディネイター)
【聴心記「心の炎」】第12回 感情と評価(3)
今回は聴心記「心の炎」です。・・・・・・【WEBセミナ】認知行動療法講座と同時並行中
前回は,「感情と評価」というお話をしました。評価・評判を推測して不安になる。実は,漠然と未来を想像すると,不安を感じるベルトコンベアーに自動的に載せてしまうことになると言うお話でした。これもひとつ,評価が不安という感情に影響するという意味になります。
前回の不安のお話が一つ目でした。今日は二つ目。もっとダイレクトに,評価そのものが感情にどう影響しているのかを考えていきましょう。 評価や評判があなたの前に提示されたとしましょう。早い話が,「あなたって能力がない人なんですね」というセリフを直接言われた,そんな状況です。
普通,この状況でほとんどの人は,この言葉が胸に突き刺さったと感じます。ここから,セリフを言われた被害者としての立場になっていきます。ところが,こんなことはないでしょうか? 「セリフを言った人が明らかに勘違いしている。誤解している。あるいは,言われた内容が非常にひどいものであっても,自分はそんな風に感じていない,もしくは,日頃から似たようなことを言われているから慣れている。」こんな場合,誰しも被害者のようには振る舞いません。相手のセリフが全く同じものであっても,その時の状況や背景が違うと,言葉が胸に突き刺さらないのです。
そんなのは,当たり前と思うかもしれません。でも,よく考えてみましょう。同じセリフが出てきても,周りの状況や背景で,突き刺さったり刺さらなかったりする。自分自身の状態は変わっていないのに。これはどうしてなのでしょうか。これが刃物だったら,状況に関係なく,結果は出てしまいますよね。
実は,相手の言ったセリフは,矢のようにとんできて自分の心に刺さっているのではないのです。相手のセリフは,自分の中で受け止められ,認識という窓口を通して同じものが自分の中に複製されます。この窓口は,自分がそれを受け入れるかどうかという窓口です。誤解がある,そう思っていない,慣れているといった認識があると,窓口を通過させないのです。当然,自分の中に複製されるものはありません。逆に,信用している人,尊敬している人のセリフであると,窓口をフリーパスで通過して,同じものが複製されることもあります。
私たちは,外からとんでくるセリフや評価に対して認識し,実際には,心の窓口を開けたり閉めたりしているのです。この時,特に良くある傾向が,突然・突発のこと,予想外・想定外のこと,不用意に飛び込んできたことには,認識がまるごとOKを出してしまって,心の窓口を閉め忘れることが多いのです。こうしてセリフや評価が,窓口を通過して私たちの心の中に複製を作ってしまい,心に突き刺さるのです。
では,こんな時どうすれば良いのでしょうか。ここで,思い出して欲しいのは,セリフや評価が直接突き刺さっているのではない。あくまでも,窓口を開いて自分で作った複製が突き刺さっていると言うことです。突き刺さったあとから抜いてしまえば良いのです。それはどういうことか? 数回前にお話ししましたね。完全絶対な評価は存在しない。「評価は,まあそんな傾向もあると考える」。突き刺さった評価の複製を,そう考えることで,作り替えてしまうのです。作り替えた複製はもう突き刺さることはありません。
ここで,突き刺さったのは評価の内容。突き刺さったという状態が感情です。出てくる感情は押しつぶしてはいけない。だから,突き刺さる状態自体を回避しようと無理することはない。突き刺さった状態を認めたあとで,つまり,出てくる感情を認めたあとで,感情のピークが過ぎてから,ゆっくり抜けば良いのです。実際には,複製を作り替えてしまうという作業です。「そんな評価もありかな」くらいの感じ。「その評価は絶対で真実」とがっくりすることもないし,「その評価は絶対に間違っている」と強硬に主張する必要もないのです。もともと,切り口・ワンショット写真での評価なのですから。
これが,前回のように,自分の漠然とした評価の想像であると,話がもっとわかりやすいと思います。評価が飛び込んでくるのではなく,自分で想像している。自分の中で作り出していることが,はっきりしていますね。実際のセリフや評価を突きつけられたときも,自分の中でもう一度複製している(認識解釈している)ことを,しっかりと覚えておいて下さい。自分の中だけで使う複製なんですから,ダメージになるような複製でなく,自分に都合の良い複製に作り替えましょう。自分の中だけの複製を作り替えることは,決して他人をだましたり迷惑をかけるようなことにはならないのですから。
ここで,お知らせをひとつ。近々,新しいセミナを開催します。うつや不安,対人恐怖に悩む人,あるいは,自分の性格が気になる人に向けて,「自分の考え方・感じ方を変えるセミナ」を開催します。15名くらいの定員のセミナで,話を聴いたり,いろいろと実習してみるセミナです。全3回くらいのセミナで,ご自分と同じ悩みを抱える方と知り合いになれるようなものにしたいと思っています。「心の炎」の内容にも,触れるセミナにしたいと思います。
セミナに興味がある方いらっしゃいましたら,「興味あり」とメール下さい。どのくらいの希望があるか知りたいと思います。よろしくお願いします。
メルアド: info@choushinkan.com
さて,評価と感情がどのように結びついているかをお話ししてきました。次回から,「心の炎」そのものに迫るお話をしましょう。
【2012.5.16: 聴心記「心の炎」は不定期で展開します】
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