
- 岡田 誠彦
- 東京都
- 税理士
対象:会社設立
ADめぐみ「映画を見ていると、すごく不思議なことがあるんです。今日もある映画を見てきたのですが、最後にあの文字を見つけてしまいました。感動にひたっていた私の目に飛び込んできたんですよ、あの文字が!!」
D税理士「いきなりどうしたんだい?」
AD「『○○○(映画の題名)製作委員会』という文字です。もう気になってしかたなくて。最近、映画を見るとかなりの確率であの文字を見るものですから。きっと何かがあると思うのです。」
D「大げさな(笑)。たとえば、間もなく公開になる『麒麟の翼』という映画でも『麒麟の翼』製作員会という文字が君の目に入るはずだよ。」
AD「ほら、きたっ!」
D「製作委員会方式というもので、何も特殊なものではないよ(苦笑)。いわゆる共同製作で、たとえば、テレビ局、広告代理店、映画会社、出版社といった会社が共同してある映画を製作する際に、そういった「○○製作員会」といたものをつくることになる。」
AD「つまり、たくさんの会社が出資をし、映画を製作するための会社をつくったということですか?」
D「いや会社とは違うんだ。会社の場合は、たとえばその映画がヒットした場合は、その会社が税金を払うことになるよね。この製作委員会方式の最大の特徴は、パススルー課税といって、それぞれの出資者が税金を払うことになる。」
AD「さっぱり分かりません。」
D「(汗)。じゃあ税金の件はあとでまたふれることにしよう。そもそも、映画を作るにはたくさんの力が必要だよね。テレビ局の企画力、広告代理店の広報力、等々、多業種の各ジャンルの会社が力を合わせることによって相乗効果が期待できる。どこかの会社が単独で映画を製作するよりも、たくさんの会社が力を合わせた方が成功しやすいと思わないかい?まあ、本当は著作権の問題も絡んでいるのだけれど、今回はそのことは考えないようにしよう。」
AD「映画をヒットさせるには確かに多くの会社の才能をかけあわせたほうが良いような気がします。」
D「才能はもちろんだが、お金だって、映画製作費は高騰化しているから、多くの会社が出資をしたほうが製作そのものがすすみやすいよね?」
AD「だからこそ、何かの映画を製作する際に、製作委員会をつくるのですね。お金も才能もかけあわせることができる。」
D「この製作委員会の種類としては2つあるよ。民法上の組合方式と有限責任事業組合(LLP)方式だ。」
AD「言葉を聞いただけで拒否感が・・・」
D「じゃあ、今回は両者に共通していることだけを解説しておくよ。まず、この製作委員会は法人ではない。つまり君がさっき言ったように会社ではない。そして製作委員会に税金がかかることはない。前に、共同事業に適している会社として合同会社を紹介したけれど、あの形態とは決定的に違うことになるよ。」
AD「そこは分かりました。」
D「もう一つの大きな特徴は、映画がヒットしたにせよ、ダメだったにせよ、そこから生まれた利益、あるいは損失は、各出資者に分配されることになる。そしてそれぞれの出資者のもとで税金が課税されるという特徴がある。これを構成員課税(パススルー課税)というんだ。・・・この続きは次回かな。」
AD「なんとなくわかった気がします。でも次回はぜひ復習からお願いします!」
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