みらいのいえ施主インタビュー(1) 住み心地とコンセプト - エコ・省エネ住宅 - 専門家プロファイル

遠野 未来
遠野未来建築事務所 代表
東京都
建築家

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みらいのいえ施主インタビュー(1) 住み心地とコンセプト

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みらいのいえ

● みらいのいえ施主インタビュー 2011.08.13 

当事務所で設計させていただいた神奈川県三浦市の「みらいのいえ」。そこに建主の荒井恭一さんご一家が住み始めて1年。先日1年点検に伺わせていただいた際、住まれたご感想や家づくりへの思いなどをインタビューさせていただきました。

いえづくりとコミュニティ、これから家づくりをされようと思われている方へのアドバイス、・・・これからの家づくりへのヒントがたくさんあります。私との仕事への感想などもありますので、これから家づくりをお考えの方、ぜひご参考になさってください。 ご自身でも「場づくり」やワークショップ、震災支援などの社会的活動をされ、「200年後も完成しない家」など、設計者にとっては衝撃的(!)なキャッチフレーズで自宅を語る発想豊かな荒井さん。初めての家づくりの様子はどうだったのでしょう?         

設計者との対談と共に、今回はじめて「みらいのいえ」を訪れたインタビューをまとめてくれた建築を学ぶ五十嵐祥兵君の客観的な目で見た印象記を、何回かに分けてお届けします。

文責:遠野 未来 (遠野未来建築事務所)

協力:五十嵐 祥兵(遠野未来建築事務所 オープンデスク・スタッフ) 

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(T:遠野未来、A:荒井恭一様)

■1)みらいのいえのいま ーコンセプトと実際の暮らしー

 T: 竣工1年が経ち、実際の住み心地などを設計のコンセプトと照らし合わせ順にお聞きします。

1年暮らしてみていかがでしたか?うまく行った点、住んでみてはじめてわかった点、さらに工夫すべき点などがあれば教えてください。 まず、全体的なお話から。

当初からエアコンなしで暮らすというのがご要望で、通風などを工夫して設計しましたが、夏と冬の実際の様子はいかがでしたか?

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A :  住み心地としては、私たちが直接感じるというより、都内に住んでいる友達を家に招いたときに皆が揃って「すずしいね」と言ってくれることで、エアコンがなくても涼しく暮らせていることに改めて実感します。夏は、高窓をつけた高低差換気など三浦地域の気候特徴である風を利用して、涼しさを引き出しているため、うまく通風や自然エネルギーを利用するように設計された家だなと思います。草屋根も断熱効果があると思います。冬は、薪ストーブによる輻射熱で1、2Fともに暖まり、快適に過ごしています。それでも場所として寒いところもありますが、人間の習性なのか、暖かいところに自然に集まってくることで自然にコミュニケーションがとれていい作用なのかもしれません。ま1た、薪ストーブで燃える薪は、何ともいえないよさがあり、見飽きません。

この薪ストーブは床暖もできるものでしたが、結局(床暖を)つけなかったのですが、それでも十分でした。海の近くで比較的温暖なうえに、床のヒノキの15mmのムク板が冷たくなくて良かった。断熱性もあるコロンブス工法(*)の効果もあるかもしれません。

それでも薪ストーブの裏側にあたるスタディコーナー(家族室)は暖まらないので、(彫り込み式の床になっている)テーブルの下に電気式のこたつのパーツをつけようかとも思っています。

また、住み始めてわかったのが、この場所に多い虫がほんのわずかの隙間から家の中にはいってくること。それは建具の隙間にパッキンを入れるなどして、解決しています。

  (*注 コロンブス工法:今回地盤改良に使った地盤改良工法。基礎下の土を撤去し、建物重量の 偏りに合わせてEPS製の《ジオフォーム》を敷設する。免震、断熱効果もある。)

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T: 設計コンセプトに沿って、実際暮らしてみた感想をお聞かせください

1 文化としての家・・・・・・コミュニティ・ビルドの家。

木と土の家に興味のある人が200人以上参加。家づくりを共有し、情報ネットワークを形成。

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A: これは◎ですね。とても満足しています。

計画当初、自分も家づくりに参加したいという気持ちはあり、遠野さんと話している中でワークショップを開催することが気がついたら決まっていたという感じでしたが、やはりやってみてよかったと思っています。

  また、私はこの家を当初から‘みんなの家’にしたいという思いがありました。それは“「分ける」から「分かつ」へ”という考えです。 どういうことかと言えば、‘分ける’ことの意味は、機能的、効率的な考えかたで用途によって場を分断していくことを表していて、‘分かつ’は、その対照的な意味で自然と人間において、エネルギーや共存のスペースを分かち合うという意味。遠野さんが言われている「巣」としての家をもっとオープンにして「場」ができないか?社会全体が「分かつ」という考え方にシフトしよう、という思いを皆さんとワークショップで共有したいと思っていました。

  しかし、これらを実現するには工務店さん(株式会社 楽居)のご理解とご協力が必要であると、強く感じました。ワークショップを行う部分ができるのを待たなければならないし、現場にたくさんの人が入るので気を使う。・・・ 目に見えない面を含め、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この場を借りてお礼を言わせていただきたいです。有難うございました。

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T:2 近隣の木の使用・・・国産材の木と現場の土を使用。古材梁の再利用。

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A: とても気に入っています。

  釘を使わず組まれている古材梁がつくる空間は、この家の象徴的な印象を表していて、実にいいです。また、遠野さんが言っていた‘もちこまない もちださない’という地産地消の考えに同感であり、コンセプト、デザイン面の両方に満足しています。

  この現場は遠野さん楽居さんと一緒に、この家に実際に使う木を見に天竜の山と製材所に行くところから始まりましたが、とてもいい思い出です。

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T:3 伝統的木造技術と関連技術

・・・軸組構法を基本に渡り腮、貫等の木組みを見せる。木摺による内部の土壁と版築壁 と漆喰の壁

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A: 遠野さん、楽居さんとの話し合いの中で、それぞれの優れた技術や知識を持って案を出して決定したことですが、現代の匠による日本の技術や自然素材の価値が見直されてくるこれからの時代にとって、モデルとなる家だと思います。



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