- 遠野 未来
- 遠野未来建築事務所 代表
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
●施主インタビューの2回目・・・設計コンセプトのつづきから、3.11の時の様子、展望について
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T: 4 現代に調和したデザイン
・・・・内部の曲面の土壁。家型を守りながら変化をつけた高窓と草屋根の屋上庭園。
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A: いずれも招いた友人の評判はとてもよく、住んでいる私たちにとっては、特に高窓が気に入っています。吹き抜け部分に面している高窓がよりいっそう開放感を演出して、外とのつながりに役立っています。採光に関しては、当初から軒を大きく出したいという思いがありました。屋上緑化された屋根の軒(各面とも1200mmの出)により、夏の暑い日差しを遮りながら、光を取り入れることができ、太陽高度が低い冬は、日差しが部屋の奥に入るように設計されているので機能的で風景とも調和する屋根だと思います。
個人的には軒は(1200より)もっと出ててもよかった、とも。構造やコストなど大変になるのでしょうが。
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T: 5 室内環境への配慮・・・・
高窓の高低差換気によるエアコンなしの暮らし。 LDKに分断せず、ワンルームでありながら曲面の壁や段差により、自由であいまいな暮らし方ができる
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A: 高窓による換気効果というよりは、建物全体の効果の中での高窓としかわかりませんが、計画当初イメージとしてあったLDKを分断せずに各スペースを活用するライフスタイルや高窓、屋上緑化、土間など相互的な作用が合わさって効果が出ているのではないでしょうか。という見解でしかありませんが(笑)
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T: 6 土間の重要性。庭と家をつなぐものとして。冷蓄熱効果、働く場として。
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A: 土間は、やはりあって良かったと思っています。使い勝手がいいので、今いろんなものが置かれていますが(笑)、今後フリースペースとしていろいろと活用していこうと思っています。当初計画していた妻の自然酵母のパン教室なども。
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T: 7 地震の時の様子.
3.11の地震のときの様子はいかがでしたか? 構造計算により、基準法の1.5倍以上の強度にしてあり、免震効果があるコロンブス工法を用いましたが、揺れ等はいかがでしたか?
地震後拝見しても、基礎や壁など割れた部分などありませんでしたね。
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A: 地震(震度5弱)がきた時は、たまたまこの家のウッドテラスにいましたが、直感的にこの家は大丈夫だなと思いました。この家の造りつけの本棚、食器棚は正面の扉がないのですが、ものが全く落ちませんでした。私に関しては、特に恐怖心もなかったので、出先の子どもたちや停電による今後の生活のことのほうが心配という心境でした。
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■2) みらいのいえのみらい ーこれからの展望ー
T: 今回のみらいのいえは、設計者だけでなく施主で、場づくりを仕事とされている荒井様のコンセプトが大きかったと思います。
ワークショップで200人以上が集まるにぎやかな家づくりになりました。ご自分のイメージ通りの家ができましたか? 今回のような家づくりは現代においてどのような位置づけになるのでしょう。・・・・
「家づくりがコミュニティづくりでもある」がコンセプトのこの家をどう三浦に根付かせていこうと思いますか?
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A: ‘みらいのいえ’の名称は、最初遠野さんが‘みうらのいえ’と‘いのちのいえ’の2重の意味としてつけた名称ですが、逆にお聞きしたいのですが、最終的にこのような家になると想定されていましたか?私は、まさしくこの家こそ「みらいのいえ」だと思うのです。
自分は家づくりは地域づくり、地域づくりはまちづくり、即ち‘いえづくりはまちづくり’と考えています。この家づくりを通して三浦には、まちづくりに貢献する意識にシフトするきっかけを与え、まち全体が家を取り巻く自然、家、家族、地域などの大きな環境と共に楽しく成長していくプロセスを根付かせて、自然エネルギーのモデル都市として他の地域の模範になってほしいと考えています。
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T: ワークショップの取材があったとき「200年後も完成しない家」という、設計者にとっては衝撃的な宣言をされましたが、その意図について。今後この家がどのように成長していったらいいと思いますか?
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A: ‘完成する’という言葉は、それ以上発展しない‘終わり’を意味としていると考えています。この家がサスティナブル(持続可能)な視点で、新しいものを取り入れつつその時代と調和を目指して、家にとりまく環境と共に成長していきたい、という意味です。
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T: 庭等、今後の具体的な計画は?
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A: 家の中では、Rの土壁の仕上げが残っていて、ワークショップでできればと思っています。暮らしてみて、家全体が自然素材の色の落ち着いた色合いなので,この壁だけは空間を引き締める特徴的な色にしたいと思います。例えば黒など・・。Rの壁が続いていますが土間の部分と室内の色を変えてもいいかもしれません。
庭に関しては、ビオトープ、家と庭との間にある砂利のアプローチを芝生などにして外と建物のつながりを作ること。
ウッドテラスにブランコ、ハンモックなどを設置して大人でも遊べる空間を作ること。そして、屋上緑化において、適している植物の模索です。
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T: ご自身の最初のコンセプトであった、「庭の中で暮らすという」 中と外が一体となった家が出来ましたか?
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A: それに関しては、NOとは言いませんが、まだまだです。(笑)
というのは、家自体の話ではなく、これから自分たちで整備していこうとしている庭づくりがまだできていないためです。今後ビオトープ池や緑のカーテンなどをつくっていき‘行きたくなる庭’にしたいという意味で、楽しみを含めた“これから”という意味の答えですね。
幅が2.4mあるテラスも意外とまだ十分に活用できていないんです。計画していてまだ実現していないアプローチからの植栽で表通りからもう少し目線が隠れるとテラスにもっと出やすいのかもしれませんね。
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