- 松永 文夫
- FPコンサルティングオフィス 代表
- 東京都
- ファイナンシャルプランナー
対象:お金と資産の運用
今回は欧州の財政不安(ソブリン危機)のお話です。
欧州では既にギリシャ、アイルランド、ポルトガルといった国々が欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)から財政支援を受けています。そして今や、その中のギリシャが債務不履行に陥るのではないかと懸念されています。
ギリシャの債務不履行については時間の問題だという意見と、絶対に無いという意見とが交錯しています。欧州域内の財政が厳しい国を救う枠組みとして欧州金融安定基金(EFSF)というものがありますが、その機能を拡充する案が今、加盟17カ国で採決されています。昨日は最大の国ドイツで可決され、残りはあと6カ国となりました。しかし、まだ全ての国の承認には不透明さが残っています。
結果がどうなるかは分かりませんが、問題は金融市場において既にこうした不安の影響が出始めているということです。取引相手への不信が台頭し始め、一部の銀行でドル資金の調達が難しくなっているのです。リーマンショックを思い起こさせるような事態です。
欧州の銀行は域内の国々が発行する国債を大量に保有しているため、その資産価値の下落により多額の損失を出して自己資本が不足するのではないかと、互いに懸念しているためです。
先日、IMFは欧州連合(EU)の銀行が2,000億ユーロ(約21兆円)の損失を抱えている可能性があると発表しました。これは欧州の銀行の協議の中核的自己資本の10%にも相当する規模だとも言われています。
ましてや、仮にギリシャが債務不履行に陥った場合はどうなるでしょうか。そうなると、恐らくギリシャだけに止まらない可能性が高くなり、欧州だけでなく世界中の銀行に深刻な影響を与えることにもなりかねません。正にリーマンショックの再来となってしまいます。いや、それ以上かもしれません。
このように、欧州は前回の米国以上に厳しい状態です。世界経済にとって大変な爆弾を抱えていると言ってもよいでしょう。
そして米国、欧州と世界の二大経済が低迷すれば、新興国経済の成長ペースが鈍化するのもやむを得ません。
さて、世界経済はこのように厳しい局面にありますが、その状況下でどのように資産運用を行うべきか、次回からいよいよ本題に入っていきます。
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