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結婚にまつわる節税その4~「小規模宅地等の減額」(2)

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皆さん、こんにちは。

今回は『小規模宅地等の減額』の第二回です。前回のコラムで、その概略を途中まで紹介しました。「一定の要件に該当する土地(宅地)について、一定の面積まで、一定の割合で計算した金額を、相続税の課税価格より控除します」という、その一定の要件に該当する土地(宅地)についてと、その要件に出てくるA.「特定事業用宅地等」B.「特定居住用宅地等」C.「特定同族会社事業用宅地等」D.「貸付事業用宅地等」の4つの不可解なキーワードについての簡単な概要ですね。

 

今回はその4つの宅地等に付された更に細かな適用要件についてご説明し、次回、『小規模宅地等の減額』の概略にある「一定の面積」や「一定の割合で計算した金額」について話を進めていきたいと思います。

 

では、前回概略だけ説明したA~Dの各宅地等に付された適用要件です。

 

A.「特定事業用宅地等」の場合・・・被相続人、又は同一生計親族の事業用宅地を取得した親族が、1)相続税の申告期限までに事業を引き継ぎ、2)相続税申告期限までその宅地を保有し、かつ事業を営むこと。

すごく簡単に言ってしまえば、『小規模宅地等の減額』を適用したいならば、お団子屋を引き継いだ息子さんは、申告期限までにそのお団子屋さんをきちんと引き継んで、その間はその宅地を売ったりしないで、そこでお団子屋さんを経営している…という条件を満たす必要があるということです。

 

B.「特定居住用宅地等」の場合・・・被相続人又は同一生計親族の居住用宅地を相続した上で、こちらは取得する側の人間(相続人)に細かな規定があります。1)被相続人の配偶者であるか、又は以下のア.~ウ.にあげる要件を満たす親族が取得すること。

ア. 1)被相続人と同居する親族で、2)申告期限までにこの宅地を所有し、3)申告期限まで居住していること。

イ. 1)被相続人が一人暮らしの場合(=同居している法定相続人がいない)場合で、2)相続開始前3年以内にその宅地を取得した相続人やその相続人の配偶者が日本国内に持ち家を持ったことがなく(つまりは、賃貸物件や社宅等に居住しており)、3)申告期限までこの宅地を所有していること。

ウ. 1)被相続人と同一生計の親族が居住しており(家屋の所有者は被相続人の親族に限る)、2)申告期限までこの宅地を所有し、3)申告期限まで居住していること。

 

これもややこしいので、かいつまんで簡単に説明すれば、被相続人の配偶者(妻もしくは夫)以外で、『小規模宅地等の減額』を適用できる条件としては、

ア)一緒に住んでいる親族(子ども等)であれば、申告期限まではそのままその宅地を売らないで住み続けていていることにより適用可能で、

イ)被相続人が一人暮らしの場合(住み込みの家政婦さんや従業員等はいても問題ありません)は、その親族(子ども等)が親元を離れて生活していても、自分の持ち家を持ってない(配偶者名義の持ち家もない)賃貸生活であれば、申告期限まで相続したこの宅地を売らずにいることが適用条件で、

ウ)に関して言えば、例えば、被相続人の所有する宅地の敷地内等に、親族(子ども等)が家を建てて住んでいる場合を想定しており、この場合であっても被相続人とその親族が「同一生計」であり、申告期限までこの土地を売らないで住み続けていれば適用可能ということです。

 

C.「特定同族会社事業用宅地等」の場合・・・被相続人もしくはその親族等が50%超の出資している会社の事業(不動産貸付業等を除きます)の用する供する宅地で、1)その会社の役員(親族に限る)が取得し、2)申告期限までその宅地を保有し、かつ、事業の用に供していること。

こちらもかいつまんで説明します。被相続人が、親族(子ども等)の会社に「貸家建付地」(土地と建物)、もしくは「貸宅地」(土地のみ)を賃貸借していた場合に、『小規模宅地等の減額』を適用するのであれば、その宅地等を親族であるその会社の役員が取得して、申告期限まで他人には売らず、事業も続けていれば適用可能ということになります。

 

D.「貸付事業用宅地等」は、Aの「お団子屋さん」が例えば「不動産業」に替わった場合などを指すので、適用条件はAの場合と同じです。

 

前回と今回で、『小規模宅地等の減額』の特例が適用される宅地等の要件について、なんとなくお分かり頂けたのではないかと思います。

次回は、適用される「一定の面積」と、適用になった場合に控除される「一定の割合」についてお話します。どうぞ、お楽しみに。

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