皆さん、こんにちは。
国税通則法に定められた更正の請求期間(現行法では法定申告期限より1年間)が5年間に延長されました。
今までは、法定申告期限より1年を超えて国税の減額の変更を求める場合には、実務上の慣行である「更正の嘆願」(法定申告期限より5年以内)という手続きを行っていました。
現行法における「更正の嘆願」とは、あくまでも税務署に対して税額の減額をしてくれるよう「お願い」することであり、税額を減額する・しないの判断は、税務署長の判断に委ねられています。
また、税務署側からの追徴課税が3年(最大7年)まで可能であることに比べ、納税者側は税金の払い過ぎに気づいても1年以内でなければ減額を請求できないというのは、納税者に対する課税と救済の適正バランスを欠いており、また、その後の嘆願においても、所轄税務署によって対応が異なる等、納税者間にも不公平が生じる等、以前から問題視する声の多かった分野です。
今回の改正は、平成23年12月2日以後法定申告期限が到来する国税に対して適用となるので、申告期限が10ヶ月である相続税の場合でいうと、平成23年2月2日以後に相続が開始となった方だけが対象となります。
平成23年2月1日以前に相続が開始となった方は、従来通り、更正の請求期間は1年となりますので、それ以降は「更正の嘆願」にて対応するしかないということです。
私ども「フジ相続税理士法人」が所属しますフジ総合グループでは、不動産が大半を占めている結果、過払いとなっているケースが非常に多い『相続税』に関して(当事務所統計では、相談者の10人に7人が減額・還付の対象となっています)、そのセカンド・オピニオンともいうべき「相続税還付手続き」を行っておりますが、やはり、更正の嘆願期間の〆切数ヶ月前で、税務署が目の回るくらい忙しい確定申告の時期ともなると、「減額の内容が妥当かどうか審査する時間がないから…」という理由だけで、減額の嘆願を否認されたこともあります。
これからは、納税者の正当な権利として減額要素の見直しを行い、払い過ぎている税金があれば、税務署に再審査を請求できる訳です。
これで救済される相続人は少なくないと思われます。
税金もセカンド・オピニオンの時代です。相続税を納めて間もない方は、ぜひとも一度、相続税の評価額の見直しをされることをお勧めします。
このコラムの執筆専門家
- 高原 誠
- (東京都 / 税理士)
- フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定 税理士
不動産鑑定士と協働。不動産に強い相続専門の税理士です。
フジ相続税理士法人は、名前の通り「相続」に特化した専門事務所です。税理士だけでなく、不動産鑑定士・司法書士による相続・不動産問題の独立系コンサルティンググループですので、相続・不動産全般のお悩みに対応しています。どうぞお気軽にご相談下さい。
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