- 平岡 美香
- フードコンサルティング株式会社 マーケティングアドバイザー
- 東京都
- マーケティングプランナー
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
今回から、「プロの基本レシピ」シリーズとして、弊社でお手伝いさせていただいている飲食店にて実際に使われているレシピのうち、タレやソースなどについてお伝えして参ります。
あえて「基本」と入れましたのは、本シリーズでは、タレやソースなどのお料理のベースにフォーカスすることで、皆さんのお料理の幅をさらに広げていただくお手伝いとなればとの思いからです。
第1回となる今回は、「寿司酢」です。
寿司酢は、ただ合わせればよいというものではありません。また、実際にお寿司を握る際には、シャリの温度とも密接に関係してきます。
「シンプルだからこそ、丁寧に」、これがお料理の基本的な姿勢です。
今回は、手順や分量の計算まで含め、やや詳しく解説いたしますので、お付き合いいただければと思います。
<材料と分量>
寿司酢を作るには食酢に塩、砂糖を加えます。お米一升に対して、食酢180cc、塩45g、砂糖120g です。
1.食酢180cc を用意します。
2.塩45g が食酢に溶けると体積は0.35 倍となるため、 45g×0.35=15.75cc
3.砂糖120g が食酢に溶けると体積は0.65 倍となるため、 120g×0.65=78cc
4.食酢と塩と砂糖の合計の体積は180cc+15.75cc+78cc=273.75cc となります。
5.もとの食酢180cc はお米0.9升分なので、273.75cc÷0.9=304cc となります。
6.寿司酢の量は、お米1 升に対して304cc となります。
<寿司酢の合わせ方>
水分に溶けやすい順番(砂糖>塩>L グルタミン酸ナトリウム)で合わせていきます。
1. 食酢に昆布をいれて旨み成分を溶かします。
2. 昆布から旨み成分が出たら塩を溶かします。
3. 塩が溶けたら砂糖を溶かします。
ここで注意しなければならないのは、塩と砂糖を一緒に食酢の中に入れてしまうと、砂糖だけが先に溶け、塩が十分に溶けなくなります。
塩が溶けないまま沸かすと(60℃を超える)、砂糖の一部が加水分解して転化糖となります。転化糖とは、砂糖の成分のショ糖(二糖類)がブドウ糖と果糖(単糖類)に分解することです。果糖は、砂糖の1.5 倍の甘さがあります。
つまり、塩も十分に溶かさないと、甘みの強い寿司酢ができてしまいます。
また、一部のレシピ本には、食酢を沸かすと酢が飛ぶと書かれていることもありますが、これは、お酒や味醂を沸かすとアルコール分が蒸発することからくる誤解ではないでしょうか。
アルコールの沸点が78℃で、酢酸の沸点は118℃なので、食酢を沸かすと酢酸も一部は蒸発しますが、大半は含まれる水分が蒸発してしまうため、酸度は逆に高くなっていくのです。
寿司酢を作り、お寿司を握るときに気をつけたいのは、ネタのこだわりだけではなく、ネタとシャリの温度管理です。
お寿司をおいしく感じる状態とは、寿司ネタが冷たく、シャリの温度が温かく感じられるときです。具体的には、ネタの温度は15℃前後、シャリの温度は30~35℃くらいです(シャリの温度が30℃を下回ると冷たく感じます)。
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