- 上田善隆
- オフィスゼンリュウ 代表
- 京都府
- 広告プランナー
対象:広告代理・制作
- 山藤 惠三
- (クリエイティブディレクター)
- 山藤 惠三
- (クリエイティブディレクター)
前のコラムより続く
商品開発者が、漠然と心に抱いていた仏壇に対するイメージ、つまり洋風で今までになかったシンプルなデザイン、過去のルールにとらわれない考え方、家具のような形、材質にもこだわらない、そんな思いを「仏壇のあるリビング」というコンセプトコピーに置き換えてみました。こうして言葉にならなかった思いを広告で具体的に表現することで、さらに商品開発がしやすくなっていきました。 販売の方面でもこの言葉をセールストークにすることができました。こういう風に四方八方にこのコンセプトコピーが広がり始めました。ヒットコピーは、わかりやすくてシンプルで展開がしやすい要素を持ち、しかも消費者、ユーザーに共感を与え、さらに商品開発のテーマにもなって社内スタッフをも先導していきます。
同じころメーカーが出す広告、つまり商品広告もマスコミを通じて行いました。新聞やテレビで全国的展開できるほどの予算はありません。そこで電車の車内広告に目をつけました。「いいちこ」という焼酎が大分にあります。この焼酎はデビュー当初、主要駅の駅貼りポスターだけに絞って広告していました。都会のサラリーマンが毎日通う主要駅に大きなポスターを、有名写真家を起用した素晴らしい写真表現で展開していました。自然の中に透明の瓶に入った焼酎がさりげなく置かれている写真です。写真の出来がいいので次のポスターはどんなものが貼られるのだろうと電車通勤族の僕は期待していました。現代仏壇の商品広告を考えるとき、この「いいちこ」の広告戦略を最初に思い浮かべたものです。
東京と大阪の交通広告を長期契約で行うのです。大阪地下鉄全線、東急、小田急電鉄で額面広告を実施しました。やはりコピーは「仏壇のあるリビング」です。3~4カ月ごとに表現を変更します。現代仏壇のあるおしゃれなリビング写真を展開していきました。バブルの風は通り過ぎたあとでしたが、面白いように売れていきました。やはり時代のニーズに合っていたのでしょう。続く
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