- 上田善隆
- オフィスゼンリュウ 代表
- 京都府
- 広告プランナー
対象:広告代理・制作
- 山藤 惠三
- (クリエイティブディレクター)
- 山藤 惠三
- (クリエイティブディレクター)
新聞の折り込みのなかで、こんな広告を見つけた。昔からよくあるエリア広告というものだけれど、このごろ特ににひどい。これは新聞社が発行している広告であると読者は思う。なぜなら新聞社の題字がトップに大きく載っているからだ。朝日新聞社がよほど力を入れている広告なのだろう。
折り込みチラシなら、折込み料を広告主が販売店に支払って新聞配達のついでに、新聞といっしょに広告を配ってもらうというのが筋だ。だから新聞社の応援はない。しかしこの広告は別だ。
新聞社から販売店に折込み代金が払われているのだろうか。あるいは新聞を配らせてやるからついでにこの広告を配ってほしいという圧力があるのだろうか。
クライアント側から言えば、朝日新聞の折り紙付きだから、他の広告よりも格が高く信頼できるのだぞと言いたいのだろうか。
新聞社がこんな広告をしていいとは思えない。そもそも新聞とは記事を載せてなんぼの世界なのに、これは広告だけ。他のチラシの商品と比べて新聞社が推薦するくらいだから、どこがどのように違うのか、記事で書いてほしいものだ。だったら納得して買ってもいいぞという気分になってくる。
この題字(「朝日新聞」)は、新聞紙面に置かれた題字とはデザインが違う。だから区別しているのだと言いたいのかもしれないがそれはナンセンスだ。だれもそんなところまで深読みする読者はいない。新聞社の題字下に電話番号が載っているが、ここに電話をすれば新聞社につながるというのなら話は別だ。新聞社が注文を取ってくれるのだから信頼できる。
いったいこの広告は誰がどこにどんなメリットがあるのだろう。教えてほしい。
新聞社とは新聞の売上げと広告収入がちょうど1対1で成り立つのが理想だ。広告収入が高いとスポンサー側の圧力がかかり過ぎ中立にはなれないし、広告収入が低いと経営は成り立たなくなる。このエリア広告は新聞紙上の本来の広告の効果が薄れてきて、広告収入が減ったためのアシスト的な雑収入になるのだろうか。
そうであれば新聞広告のあり方を再考すべきだ。
このコラムに類似したコラム
広告表現のルールをおおまかに決める。(4) 上田善隆 - 広告プランナー(2011/07/11 00:00)
折込チラシの命、意外に長かった。半年以上も…。(2) 上田善隆 - 広告プランナー(2011/06/29 23:09)
一つチラシで、果たせる目的は最大でいくつ? 菅野 真一 - グラフィックデザイナー(2010/07/26 09:00)
機能的なデザイン 伊藤 貴昭 - グラフィックデザイナー(2010/06/25 22:40)
チラシ効果の計り方 菅野 真一 - グラフィックデザイナー(2010/06/21 09:00)