私がずいぶん前に聞いた講演で、「和」には、積極的「和」と消極的「和」があるというお話をうかがったことがあります。
積極的「和」とは、文字通りチームワーク、協調性、他者へのリスペクトといった、一般的な「和」を捉える時に言われるところですが、負の要素ともいえる消極的「和」があり、これには隠蔽体質、非効率、競争を避けるといったものがあるとのことです。
欧米や中国などの諸外国は、程度の差はあれ個人主義、多民族、争いの文化であり、そのような文化的背景の中で社会や組織の統制を保つために、法令やルールの整備、情報公開、他管理システム作りという形がとられてきているので、消極的「和」に見られるような事象は必然的に排除されているが、日本は「和」の文化ということで、消極的「和」のような負の要素が温存されがちな文化的背景がある、というようなことでした。
その方は「和」の維持と「和」の転換の両面が必要とおっしゃっていました。
私は「和」という言葉は好きでしたし、その当時は、「和」は全面的に維持しなければならない大事なもの、という捉え方をしていましたが、このお話を聞いて、たとえ原則と思われているようなことであっても、一方的な視点だけに固執せず、バランスが取れた見方をすることが重要だと強く納得した記憶があります。
こんな見方で見直す必要がある事柄は、案外たくさんあるのかもしれません。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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