- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:会計・経理
脱税として告発する事例が摘発された。
10日11時45分asahi.com記事はこう報じた。
貸し付けた約6億4千万円を不良債権に見せかけて1万円で売却したと装い、
脱税したとして、静岡県沼津市の運送会社「大富運輸」と大木理久夫会長
(67)が、名古屋国税局から法人税法違反の疑いで静岡地検に告発された
ことがわかった。
関係者によると、大木会長は、同社が関連会社に貸し付けた約6億4千万円
について、回収が可能なのに、08年3月期に回収の見込みのない不良債権
として関連会社社長に1万円で売却したように仮装。
特別損失が発生したとして、約3億4千万円の赤字と申告し、脱税したとされる。
所得隠しの額は約6億4千万円。
累積赤字があり、脱税額は少なくなると見られる。
会計上は貸し倒れが合理的に見積もられるタイミングで貸し倒れ計上すれば
貸倒損失を計上することができるけれども、税法上は、債務確定主義に
基づくため、法律的にも貸し倒れが確定しないと貸倒損失を計上できない。
本件は、会計的な発想で貸倒損失を税法上でも計上できる方法を考えたの
かもしれませんね。
しかし、関係会社への売却では、租税回避とされても致し方ないですね。
どうしても貸倒処理をしたければ、サービサーへの売却を考えるべき
なんでしょうが、回収可能性がある債権をサービサーに売却すれば、
当然、サービサーが全額回収することになるのですから、
会長の意図とは全く違うものになってしまいますよね。
ずるいことをしようとしても、そうさせないように法が網の目を張っているのです。
決算まで何も対策をせずに儲けが出て税金を払わなければならないことを
嫌がるというのは愚の骨頂です。
なぜ事前の対策を準備しないのですか。
それとも税理士から何のアドバイスも受けていなかったのですか?
継続的なアドバイスを受けられる良好な関係を築かれていれば、稚拙な
課税逃れを考える必要はなかったのではないでしょうかね。
国税当局の調査能力をなめているとしか思えないですね。
実に嘆かわしい事件です。