与謝野財務相の消費税増税論再び - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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与謝野財務相の消費税増税論再び

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税制改正 平成21年度税制改正
与謝野財務相の持論とも言うべき消費税増税論が再び注目されている。
26日8時5分産経新聞記事はこう報じた。

財政再建派の急先鋒である与謝野馨財務・金融・経済財政担当相が、
再びのろしを上げた。
「100年に1度」の経済危機に対応した追加経済対策の発動で、史上最大の
“大盤振る舞い”を行った財務相として歴史に名を残すことになって
しまったが、その鬱憤を晴らすかのように、しばらく自粛してきた持論である
消費税率引き上げ論をぶち上げている。
解散・総選挙を控え、迷惑顔の同僚議員などまったくお構いなしだ。

◆“増税公演”再開
「国と国民は同じだ。(福祉は)国がやればいいというのは、他の誰かが
負担すればいいと言っているのと同じ。みんなで負担する制度でなければ、
制度は成り立たない」

今月16日に放送されたBS番組。
与謝野氏は、すべての国民が広く税負担する消費税の増税の必要性を
強調し、国民に増税への覚悟を強く迫った。

年明け以降、「“公演”は一時中止」と、増税論議を自粛してきたが、
ついにその封印を解いた。

自粛は、経済危機による大誤算が原因だった。

「日本経済にもハチが刺した程度の影響はあるが、日本の金融機関が
痛むことは絶対にない」

米リーマン・ブラザーズが破綻した直後の平成20年9月17日。
自民党総裁選に出馬していた経済財政担当相の与謝野氏は街頭演説で、
“対岸の火事”と言わんばかりの楽観論を披露した。

年末までは財政再建派としても活発に活動。
総額2兆円の定額給付金にからみ、「ゆえなき減税は今年でおしまい」と、
嫌みたっぷりにクギを刺す。

12月に閣議決定した税制の抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」でも
麻生太郎首相をたきつけ、23年度からの消費税増税を可能にする文言を
明記させることに成功した。

◆酩酊会見でとばっちり
だが、楽観論は外れ、日本経済は垂直落下する。
銀行の貸し渋りが深刻化し派遣切りも横行。
10〜12月期は震源地の米国よりもひどいマイナス成長に陥り、年明け以降、
さらに悪化に拍車がかかった。

もう一つの大誤算が、2月にローマで開かれた先進7カ国財務相・中央銀行
総裁会議(G7)だ。
出席した中川昭一前財務・金融担当相が、ろれつの回らない酩酊会見で、
帰国後に辞任。
経済財政に加え、財務・金融担当相という“一人三役”を仰せつかることに
なってしまったのだ。

最大の使命は、経済危機への対応。
増税論議どころではない。

財政責任者として取りまとめた追加経済対策は、財政支出で約15兆円、
事業規模で約57兆円、追加の国債発行額が約11兆円という過去最大に
膨れあがった。

省エネ家電のエコポイント、エコカーへの買い替え補助、贈与税減免…。
「寄せ集めによる選挙対策」という“ばらまき批判”も、与謝野氏は粛々と
受け入れた。

◆いばらの道選ぶ
だが、最後の最後で反撃に出る。
追加経済対策の政府・与党合意の中に、消費税増税を明記した
「中期プログラム」について、6月をめどに見直すことを盛り込ませたのだ。

「財政再建の重要性は、相当な大きな補正予算を作っただけに、一層、
重要になっている」

今月17日の諮問会議後の会見では、大盤振る舞いの“食い逃げ”は許さない
との姿勢を強調。
財政再建派としての活動再開を宣言した。

中期プログラムの見直しでは、「増え続ける社会保障費を賄うためだけでなく、
財政規律を守るためにも、消費税増税が必要なことを明記させることを
狙っている」(財務省関係者)とされる。

さらに、衆院選の自民党の公約として、消費税増税を掲げ、戦うべきだとの
主張まで始めた。

これに対し、与謝野氏がかつて「悪魔的」と批判した経済成長による
税収増を目指す“上げ潮派”議員に加え、公明党から、「増税ありきの
姿勢で有権者の理解を得られるはずがない」との反発が出ている。

「政治は国民の前に堂々と増税の可否と、その使い方の選択肢を提示
しなければならないはずだ」

自著「堂々たる政治」でこう記述した与謝野氏。
通算3回も落選を経験し、弱いといわれる自らの選挙への影響も心配されるが、
“正論”を取り下げるつもりはまったくない。

総選挙に加え、世界同時不況の深刻化で、増税論議への逆風が吹き荒れる中、
あえていばらの道を歩もうとしている。(比嘉一隆)





緊縮財政を旨とする与謝野氏の政策をズバリ指摘し、今後の税制の方向への
懸念を産経新聞は表明したいところなのであろう。

与謝野氏が増税ありきの立場にあるのは当然のことであろう。

経済立て直しのための財政出動はどうしても必要なことだから、赤字国債を
乱発してででもやるべき政策だと思う。

しかし、年金財政の近い将来の破綻が憶測されたまま、赤字国債の償還
のための負担を将来世代に残すことは政治家の取るべきスタンスではない。
少なくとも私はそう考えるし、そういう政治家には落選して頂きたいと思う。

だから私は学生にも、ありがとうと言っているのだ。

それはそうだろう。
ベビーブーマーの私たち世代が引退するときに、その年金負担と税負担を
して頂くのは、私たちの世代よりも人数がかなり少ない、今の学生たち
なのだから。

政治家の皆様も自分の世代のための負担を誰がしてくれているのか、
その後に残される膨大な財政赤字を誰が解消してくれるのかを、よくよく
考えて頂きたい。

与謝野さんは増税時期の明確化に拘っているようであり、その点には
疑問があります。
増税するためにもまずは景気回復。
景気回復が安定してからの増税でないと、第2次橋本内閣による消費税増税が
景気回復を失速させた失政の二の舞を踏むことになろう。

しかし、近い将来、大増税を行うことによって、財政再建を果たさなければ、
将来世代が安心した老後を迎えることは困難になるのだ。

そんな国で安心して子どもを産めないのも当然だと思う。

自分の子どもが将来を不安視して生きなければならないのならば、
子どもをたくさん産み、育てようという意欲が生まれようもないのだ。

そういう意味で、与謝野さんの増税論には聞く耳を持っておくべきであろう。

まさに良薬は口に苦し。

増税は嫌なものかもしれないが、必要であるものでもある。
そのためにも、タイムリーな情報をいち早くキャッチする耳と、行動できる
フットワークを養っておきたいものです。