- 牛田 雅志
- ブレインリンク・コンサルティング株式会社
- 税理士
対象:会計・経理
某月某日
ひょんなことから子供が通う小学校のPTA役員になりました。
「入学式と卒業式と運動会に出てちょっと喋れば良いだけだから・・・」という適当な勧誘に乗ってしまった私も悪いのですが、年に3回で済むほど簡単ではありませんでした。
最大の難関は月1回開催される「理事会」という会議です。私の他、校長先生・教頭先生・学年代表・各委員長さんが出席対象で、校長先生と教頭先生と私以外はすべて女性という構成です。いつも校長先生と教頭先生がいてくれればまだ良いのですが、時々ひとりぼっちで放置されることがあるんです。
ちょっと想像してみてください。
20名のママさん(きっと30代から50代)に囲まれた上、よく解らない議題が討議され、口をはさむ余地がない状態を・・・。
嫁さん一人でも扱いに困っているのに、20名のママさん達を相手にするのは仕事より難儀です。
「なんとか存在感を示さねば・・・」
女性の役に立たねばという男の本能が湧き出てきました。
「でも、どうすればママさんコミュニティーに入れるのか?」
まずは相手を良く知ることだと考え、じっくりとママさんを観察することにしました。
面白いことにママさんを観察すると決めた瞬間に、ママさんが至る所にいることが分かりました。
「何当り前のことを言ってるの。ママさんなんてそこらじゅうにいるでしょ。」
とおっしゃるかもしれませんが、意識して見ていない時は、目には入っているのですが頭には何も残っていませんでした。
学校行事に近所のスーパー、はたまた道端でも。ママさんとはいろいろなところで出会います。ある日、横断歩道で信号待ちをしていたら、向かい側の歩道に顔見知りのママさんが立っていました。目が合ったので会釈すると相手のママさんが大きく手を振って返してくれました。
「ああ、ママさんコミュニケーションはこれだぁ〜!」
私も大きく手を振って真似をしました。
それ以来、こちらからママさんを見かけると、大きく手を振ってから「○○さ〜ん」と叫ぶようにしました。するとどうでしょう、ママさん友達が少しずつですが増えて行きました。それと同時に、理事会でも「発言を許される」ようになり少しは話ができるようになりました。
さらにもう一つママさんを観察する中で、女性独自のコミュニケーション方法を発見しました。
PTAでは月に一度会報を作成するのですが、その会報を書記担当のママさんが自宅に届けてくださいます。その会報には必ずちっちゃな可愛いメモがクリップで留められていて、私あての優しいメッセージが書かれていました。
「ああ、ママさんコミュニケーションはこれだぁ〜!」
そういえば、みんなで撮った写真をもらったときや小口の経費を精算してもらったとき、可愛い袋にレターが付いていました。いろいろママさんとやり取りをしていたのですが、私には全くママさんの行動は見えていませんでした。
商売繁盛マーケティングでは、
「相手のことを漠然と理解する」のではなく、
「相手の息づかいまで感じる程に研鑽する」と考えます。
お客様の息づかいを感じられるまで研鑽しているかと自問自答すれば、「効率化を優先して平準化したサービスしか提供できていない」と反省せざるを得ません。商売繁盛への道は、お客様一人一人に真摯に向き合うことでしかゴールできません。当たり前ですが、お客様を「one of them」ではなく「only one」で関与いたします!
追伸
「その後ママさんコミュニティーには入れたの?」
「今も牛田さんはいつも大きく手を振って名前を叫び、手渡す資料には可愛いレターを添付しているの?・・・」
地元での私はさらに女性学を究め、スーパーで買い物かごを抱えながらママさんと立ち話が出来るほどママさん化しています(妻には呆れられています)。