先日、ご相談をいただいたのですが、結果として、「わたくしではお役に立てそうにありません」と
お断りしたことについて、コラムにしました。
ぼやき半分?ですが、ご参考になればと思います。
担当者:「この頃よく聞く、1on1コーチングって効果あるんですか?」
私:「はい、コーチを育てることができる企業にとっては、メリットは大きいですね」
担当者:「どんなメリットですか?」
私:「例えば、人材育成費の見直しができます。社員の成長を自社内で実現させられるようになるの
だから、経費の見直しはできます。ただ、コーチを養成するための費用は、一時的には多くかかりますが、
先行投資という考え方をしていただければ、長期的な経費の削減策の一つになるということです」
そのほかにも、いくつかのメリットがあり、またデメリットもありますというお話をしたのち、衝撃的なひとことをいただきました。
担当者:「では、そのコーチを育成したいのですが、属人化したプログラムではないご提案をいただきたい」
私:「はい・・・・(返事の声がフェードアウトするのを感じるのは、年に1度あるかないか)」
う~ん・・・ここまでなるべく丁寧に、お話をしたつもりだったので、この振りに応えられなくなってしまいました。
コーチを育成するためのプログラムは、技能(スキル)面では、属人化しないように作りこんであるものがほとんどです。これは、コーチを養成する企業がたくさんある中で、共通していることの一つだと思っています。
ただ、1on1の導入は、人材の成長や育成の手法として取り入れるのであって、価値観や個性を統一化させるためではないと思いますし(と信じたい)、仕事と人が密着している環境を、それぞれの人の成長や自己実現に手を貸したいということだと思います。
コーチを生業としている人には共感していただけると思いますが、
ある出来事が起きたとします。
その出来事そのものは事実でしょう。
ところが、その事実をどう受け止めるかは、それぞれの感性によって違いが生まれます。
人を育てるためのコーチングは、この感性がとても重要になります。
例えば、部下や後輩を共感的に理解するとか、寄り添うとかを実現させるためには、
直感とか感性が必要です。
この感覚的な関わり方を属人化させないということができるのかどうか・・・
例えば、次の写真は、同じ花を角度を変えて撮ったものです。
どちらがより、その花の美しさが伝わりますか?と問えば、さまざまな答えが返ってきます。
そのすべての答えが、その人の中の答えであって、自分の答えはもちろんあるので、
答え合わせを望まれれば、答え合わせはします。
けれど、では、それが正解なのでしょうか?と聞かれても、
正解かどうかは、その人の感性で決めてよいのです・・というのが、コーチを育てる時の
「軸」の一つになるわけです。
その担当者の方の役に立ちたいとは思うのですが、さすがに、このお申し出を形にすることはできないと思って
お断りしました。
コーチ養成は、観念の世界なのですか?と担当者の方には、食い下がられましたが、
それも一つの要素であって、すべてではありませんと、最後は禅問答のようで申し訳ないことをしたと思いました。
スキル重視の社会は、共感重視の社会に変化していることを、もっときちんとお伝えできるようになれればと、
自戒を込めて、このコラムを書きました。
キャリア形成、人材成長のための「本気」のコーチング導入やコーチ養成をご検討の皆さん。
次は、もっとうまくご説明いたしますので、どうぞお問い合わせくださいね。
このコラムの執筆専門家
- 竹内 和美
- (研修講師)
- 株式会社オフィス・ウィズ 代表取締役
実践型研修で、結果が即・行動に現れます
ビジネススキルに不可欠なコミュニケーション力。ますます重要な「聴く力」「話す力」「論理的に考える力」を高める研修はじめ、企業研修の内製化のコンサルティング、人事政策のアドバイスなど、人事に関する総合的なご支援をしています。
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