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村田 英幸
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村田 英幸
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閲覧数順 2022年05月21日更新

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3分で読める!社労士コラム ~労使のバランス・オブ・パワー~第6回(労働市場)

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「労働市場」という言葉があります。

なんだか人間を商品に仕立てるような言い方ですが、就職や転職で取引されているのは「労働力」と「賃金」なので、とりあえず経済(何かと何かを交換する)的な文脈としてはいちおう言い当てているのでしょう。

さて、この労働市場には2種類あるそうです。

「内部労働市場」と「外部労働市場」です。

要するに、社内の人間で何でもなんとかしようとするのが「内部労働市場」で、○〇に詳しい人がいない?どっかから連れてこようというのが「外部労働市場」だそうです(私が勝手にそう言い換えてるだけなんですが。)。

日本の企業は、戦後以来ながく「内部労働市場」型で人を働かせてきました。新卒で採用したら定年まで雇用を保証する代わりに、今までやってきたことも今まで誰もやったことが無いことも、生え抜きの社員が一から学んで時には転んで痛い目に遭いながら、それでもどうにもならないならコンサルタントの力を借りて・・なんて感じです。そこには「外部労働市場」なるものを活用しようという発想は基本的にないわけです。

それって毎年新卒採用する大企業の話では?と思われたかもしれませんが、むしろ中小企業の方が「生え抜き」を大事にする傾向にあるように思います。お金さえあれば、有名コンサルタントを使うことだってあります。

いずれにしても、一度企業に入れば、少なくても正社員は「なんでもやらなきゃいけない」という意識がないと務まらないというのが、この国の労働の実態でした。

ところで、どうしてこういう「なんでもやらなきゃいけない」という意識がもてるのでしょうか?何の見返りもないのに、苦手なことややりたくないことをさせられることに、人は同意するでしょうか?

見返りは、あります。「定年まで雇ってもらえる」ということです。会社がそれまで何事もなく存続していればという大前提があるのですが、そこは皆さん見て見ぬふりというか、そこまで先の未来のことまで誰もわからないし就業規則に「定年は○〇歳」って書いてあるし・・ということで、それが希望的観測や幻想だとしても、期待と合意があったわけです。

さて、そんな期待と合意でバランスをとりながらまわっていた労使関係ですが、何事も光と影があるもので、「なんでもやらなきゃいけない」が「なんでもいうこと聞け、聞けない奴は辞めて当然」という理屈になってしまうことも多々起きました。

今の時代、「親の介護で転勤できない?じゃ辞めろよ」「結婚?で、いつ辞めるの?」みたいなことを言おうものなら管理職失格ですが、ちょっと前ならそれが当然という空気がひろく漂っていました。

そういう問題はあっても、日本の経済が絶好調なら政府は「個別の話」として片づけたでしょうが、絶好調どころか「G7」にいることが恥ずかしくなるような未来図がみえてきたため、「内部の人間だけで何とかしようとするから生産性が悪いんだ」とでも言いたげな政策・法改正が目白押しになりました。

派遣法の成立以降でしょうか、すでに「外部労働市場」は過去とは比べ物にならないほどの規模に拡大しました。「非正規」と呼ばれる層は全労働者の4割を占めるそうです。少子高齢化で人手不足は常態化。高齢者や女性にもっと活躍してもらったとしても足りない。外国人も活用しないといけない。未だにITに疎い、AIって芸能人?RPA?なにそれ美味しいの?なロートルでなんとかしようとするより外から得意な人材連れてこい、できないならリカレント教育で「雇用される力」を養わせろ、「外部労働市場」の拡大・活性化こそこの国を救う手立てだ・・、私の目や耳にはそんなメッセージが政府から矢継ぎ早に発せられているように感じています。

そういうメッセージのせいでしょうか。われわれ社労士に向けた宣伝文句として、「これからは人材ビジネスに参入すべし」というお誘いが一時期来ていました。

たしかに、これからは「外部労働市場」を今より拡大するよう仕向けるような流れにあることは確かですが、何事も熱しやすく冷めやすいこの国において、果たしてそうした流れがどこに向かうのか、ちょっと冷静に考えてみる必要はあると思います。

「うちの業界は昔から外部労働市場がメイン」というところもあるし、「本当は内部でなんとかしたいんだけど、人の出入りが多いのがデフォルトなんだよね」というところも、「うちは長くやってきた人を大切にしたいんだよね」というところも・・と、それぞれです。

働く側としても、できることなら入社したところでながく大切にされながら体と気持ちが続く限り続けていきたい・・そう思いたい人もまだまだ多いと私は感じるので、「内部労働市場」型でいくなら、それもアリだと思います。

確かなのは、今後「内部労働市場」と「外部労働市場」の規模の差はそれほど無くなってしまうことと、両方をうまく活用できるほうが、事業の発展にとって、より役立ちそうだということではないでしょうか。

そのためにはどう変化すればいいか?正社員なら「なんでもやって当たり前」「やらせて当然」を実現するツールである「人事権」、これの在り方をどうするか、この点が一番重要ではないかと思います。

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