ゼロゼロ物件、家賃保証会社に賠償命令、福岡簡裁 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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ゼロゼロ物件、家賃保証会社に賠償命令、福岡簡裁

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発表 実務に役立つ判例紹介
19日10時30分西日本新聞ネット記事は次のように報じた。

敷金・礼金が不要な「ゼロゼロ物件」のアパートに入居した福岡市の
30代の男性が、滞納した家賃を未明の時間帯まで強引に取り立てられた
として、家賃保証会社「フォーシーズ」(東京)に100万円の損害賠償を
求めた訴訟で、福岡簡裁の野瀬真司裁判官は「生活の平穏を害した」
などとして5万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

ゼロゼロ物件は、家賃の連帯保証会社による強引な取り立てが問題化している。
こうしたトラブルの救済のため、弁護士らでつくる「全国追い出し屋
対策会議」(大阪市)によると、家賃取り立てに関する保証会社への
賠償命令は全国で初めてという。

判決(17日)などによると、男性は2007年4月、フォーシーズを
連帯保証人としてアパート(家賃月額5万1000円)に入居。
給料が減るなどして同年6−8月の家賃を滞納すると、同社社員3人が
自宅で午後9時ごろから翌午前3時ごろまで支払いを催促した。

判決によると、男性は同社の連帯保証を受け、アパートを借りた。
3カ月続けて家賃(月額5万1000円)を滞納した2007年8月31日
午後9時頃、自宅を訪れた同社従業員3人から6時間にわたって
取り立てを受けた。

野瀬裁判官は、午前0時以降も取り立てが続いた点を問題視し、
慰謝料を認めた。



この記事につき、先行した18日16時10分asahi.com記事によると、
「野瀬裁判官は「午前0時を過ぎた交渉については精神的苦痛を与えた
というべきだ」と指摘。ただ社員が男性方に無断で上がり込んで玄関に
居座ったなどとする男性側の主張は、「犯罪行為に当たるような強引な
取り立てを受けた証拠はない」と退けた。」という。


そうすると、今回の判決は、家賃保証会社に対する損害賠償請求が
認められた画期的な判決ではあるけれども、その理由には、残念ながら
汎用性が少ないと言わざるを得ない。

悪質な取り立てであり、夜0時を過ぎての交渉が精神的苦痛を与えたと
認定されたということは、日を跨がなければOKということになりかねない。
また、玄関に座り込んだことについては証拠不十分であるとして採用されない
ということは、写メでも取っておくしか方法がないということだろうか。
おそらく写メでも、日付の改変ができることから、証拠能力不十分
ということになることが容易に想像できるが・・・



この問題については、近年トラブルが急増しており、法曹界においても
対応が迫られていた。
16日10時53分asahi.com記事はこう報じている。

賃貸住宅の家賃を滞納した借り主が、家賃保証会社などから強引に閉め
出される「追い出し屋」被害を食い止めようと、弁護士や司法書士らで
つくる支援団体「全国追い出し屋対策会議」が15日、結成された。
家賃保証業の登録制を柱とする「賃貸保証業規制法(仮称)」の早期制定を
提唱し、国土交通省に近く申し入れる方針。

結成集会は大阪市港区で開かれ、東京や大阪、福岡など13都府県の
弁護士や司法書士らが参加した。
日弁連消費者問題対策委員長の吉岡和弘弁護士は「安全で平穏に居住する
権利を侵害する追い出し屋をまかり通らせてはならない」と語った。

被害の多くは敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」に集中。
被害者の一人、大阪府牧方市の派遣社員の男性(22)は昨秋、妻子が
保証会社の社員を名乗る男から追い出されたと証言した。
東京では不動産会社と借り主との間で「施設付鍵利用契約」と称した
契約が結ばれ、滞納時に玄関ドアの鍵を無断交換される例が紹介された。

基調講演で、京都産業大法科大学院の高嶌英弘教授(民法)はドアロックや
家財撤去などを記した契約書について「建前上は借り主から合意を
取り付けている形だが、実際は借り主の権利を排除しているに過ぎず、
法律上も無効だ」と指摘した。

同会議は家賃保証業の登録制導入や晋也早朝の督促の禁止、違反業者への
営業禁止などを盛り込んだ規制法を提唱。
公的保証人制度の創設などを求める宣言を採択した。
代表幹事の増田尚弁護士は「低所得者向けの住宅政策が貧弱なことが
被害の背景にある。国は法整備を急ぐべきだ」と話した。


このような取組みもなされているので、低所得者向け住宅施策の整備が
急がれるところであろう。
この整備は派遣切りにより寮を出ざるを得ない派遣社員たちの住宅の
確保と共に、早急に求められる喫緊の政治課題であろう。
民間だけでできることはしれている。

今こそ、政府の役割が求められるところであろう。



また、この問題については以下のHPを参考にされたい。
敷金問題研究会HP
http://hccweb5.bai.ne.jp/~hea14901/index.htm