高杉氏への日経株譲渡認められず、東京地裁判決 - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士

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閲覧数順 2024年04月19日更新

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高杉氏への日経株譲渡認められず、東京地裁判決

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発表 実務に役立つ判例紹介
25日1時16分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

「金融腐蝕列島」などの作品で知られる作家高杉良さんらが、
「日本経済新聞社の元社員から同社株の譲渡を受けた」として、同社などを
相手取り、株主であることの確認などを求めた訴訟の判決が24日、
東京地裁であった。

矢尾和子裁判長は
「日経新聞は日刊新聞法に基づいて株の譲渡先を自社の事業関係者に
限定しているが、原告は事業関係者ではない」と述べ、高杉さんの請求を
棄却した。

判決によると、高杉さんは2006年7月、元社員から、同社株1000株を
1株7360円で買う契約を結び、同社に承認を求めたが認められなかった。

日経新聞社には、「株主が日経株式を売却する場合は、社員株主で作る
『日本経済新聞共栄会』が1株100円で買い戻す」というルールがあり、
最高裁は今月17日、このルールについて「合理性があり、有効」とする
判断を示している。

一方、同社がこの問題を受けて取締役会で元社員の社友資格を取り消す
決議を行ったことについては、判決は
「日経新聞の信用を失墜したとまでは言えない」と述べてこの決議を
無効としたうえ、元社員が株主であると認めた。
日経側は共栄会が、元社員が持っていた全株式(5590株)を譲り受けたと
主張した。



先日の18日に書いたコラムと関連する判決が24日に東京地裁で出ていた。
日経新聞株の譲渡を巡るトラブルですが、先日も書いたように、17日の
最高裁判決において、日刊新聞法に定められた社員持株会が、株式の譲渡の
際の株の引取りを一手に行うとする日経新聞のルールが承認された以上、
高杉氏への株の譲渡が認められなかったのは当然のことであろう。

ただ、今回の判決は、株を他に譲渡しようとした元社員の社有資格さえ
奪おうとした日経新聞側の主張は退けている。

日経新聞側は、
「日経の元社員から高杉良氏への日経株式の譲渡を東京地裁判決が
認めなかったのは、日刊新聞法を支えとする当社の社員株主制度
ならびに株式譲渡ルールの正当性を認定したものと受け止めています。
ただ、当社の定款に反して事業関係者以外に株を譲渡しようとした
元社員の社有資格取り消しが認められなかったのは大変遺憾であり、
控訴します。」(日経HPより)
との、コメントを発表し、即時に控訴したようだ。

マスコミ各社の場合、報道に恣意性が入り込まないように、外部関係者が
株主になることを極力押さえる方向にあり、日刊新聞法もその理念から、
社員持株制度の充実を求めるところである。

マスコミの中には上場し、外部に公開されているところもあるが、
それが裏目に出ると、ホリエモン事件のようなことが起きることになる。

社会の公開し、透明性の高い経営を目指すべきなのか、
外部からの買収に備えて、非公開を貫くべきなのか。

特殊な業界だけに悩ましいところであるが、この問題は、成長を遂げた
中小企業にも言えることである。

上場することによって、外部の厳しい目に晒されることによって、
経営の透明性や遵法意識が高まり、より社会性を備えた会社へと
成長することが期待されるところであるが、
多くの中小企業は、良くも悪くも同族会社である。

同族会社なるがゆえに、1度暴走し始めると、歯止めが利かなくなる。
ミートホープ事件しかり、船場吉兆事件しかりである。

マスコミが暴走した時に、それを止められるのは、ライバル社である
他のマスコミ各社でしかなかろう。

そういう意味では、あまりに保護主義的な持株会ではなく、もう少し
フレキシブルに外部者の声が届きやすい状況は作れないものだろうか。

株式公開が全てではないが、外部からも透明性高く、明快な経営を
推進するためにも、何らかの検討が必要な時期に来ているように思う。