私は主にIT企業向けの人事コンサルティングを手がけておりますが、その中で人事制度を何とかしたいというご相談をよく受けます。何らかの制度はあるが機能していないというケースがほとんどで、多くは制度改善を行っていくことになりますが、中には制度そのものにそれほど問題があるとは思えないケースがあります。
このような場合によくお話をうかがうと、どうも人事制度を作った過程に問題があると思われるケースが比較的多いのです。
以下は私が相談を受けたことがある一例です。
《ケース1》
きちんとした人事制度を作りたいと思い、大手コンサルティング会社に人事制度構築を依頼。コンサルティング会社が持ち込んでくる原案を、人事担当者が検討会議を通じてチェックしながら、1年近い期間をかけて作り上げていった。
定期的に役員報告を行い、最終決済も得て社員向けの説明を行ったが、そこで疑問や不満が噴出。当初はコンサルタントも説明に参加していたが、契約満了後は、すべて人事担当者が対応することになる。何とか運用開始まではこぎつけたが、その後の様子を見ると意図した運用がされず、効果も出ていない。
《ケース2》
社内で新たな人事制度を作ることになり、その主担当に任命された。初めての経験なので関連書籍を何冊も買い込んで勉強し、最新の方向性などの情報を仕入れる。勉強するほどに自社の制度に対する問題意識が高まり、何とか理想的なものにしたいと思う。理想に近いと思えた本の内容を参考に制度を作り、役員承認を受けて運用を始めるが、まったく思った通りに機能しない。制度構築担当としては「社員のレベル、意識が低い」と思うが、現場からは「現場を知らない」、「実態と合わないから運用できない」などの意見が出て収拾がつかない。
上記の例では、どちらも作り上げた制度は決して悪いものではありませんでしたが、うまく運用することができませんでした。
これらのケースには、実は共通点があるのですが、これ以降から結論までは次回にさせて頂きます。もしお時間があれば、ちょっと考えて見てください。(タイトルを見れば分かってしまうかもしれませんね・・・。)
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
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