“幸運”や“成功”は「予定外」のことから生まれるという話
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あるテレビ番組で話題にしていたことですが、ノーベル賞をとるような大きな発明、発見のほとんどは、予定していなかったこと、ラッキーなことから始まっていることが多く、自分の予定通りにやったことからは、大きな発見はあまり生まれていないのだそうです。
また、「予定外」のことから発見を見出すには、それを見逃さないための感性が必要で、そのためには、今までの既成概念を捨て、肩の力を抜き、そのことをもう一度見直すということをしていると、発明を生んだり、成功しやすくなったりするということでした。
私はこの「“幸運”や“成功”は予定外のことから生まれる」ということを、特に独立して仕事をするようになってから、強く感じるようになりました。
例えば、こんな業界や立場の人と出会えば、こんな人が集まるコミュニティに参加すれば、こんな情報提供をすれば、そこから直接仕事につながるのではないかと、それなりに理屈を考えて行動したりしましたが、そういう中から「予定通り」の結果が得られたことは、実はあまり多くはありません。ほぼなかったといっても良いかもしれません。
反対に、まったく思いもよらない人からの紹介や、何も意図していなかった偶然の出会い、ある日突然あった問い合わせなどをきっかけにして、仕事上の長いお付き合いが始まることが、実際の件数などから見ていても、私の場合は圧倒的に多いです。
こういう時に、後から理由を確かめてみると、それなりの経緯や理屈が必ずあり、その度に「なるほど、そんなことだったのか」などと思いますが、それが事前に予定、想定ができることだったかといえば、それはできなかっただろうということばかりです。
そんな中で自分にできることとしては、可能な限り多くの人たちと会い、多くの場所へ出向き、多くのことを発信するしかありません。多少の確率や効率は考えますが、何か大きな変化をもたらすような出会いや出来事は、やはり予定できるものではありません。
「“幸運”や“成功”は予定外のことから生まれる」ということを、なぜ会社勤めの頃はあまり思わずに、独立してから強く感じるようになったのかを考えてみましたが、そこで一つわかったことは、「一日の生活の中ですでに予定されていることの割合の違い」ということです。
もちろん業種や職種による差はあるでしょうが、会社勤めであれば、少なくとも就業時間や休日は決まっていますし、給料もルールで決まっていて、ある程度の幅で一定していると思います。
場合によっては、朝も帰りも同じ時間に同じ電車の同じ車両に乗り、会社では同じ顔ぶれと仕事をし、同じ人たちと行動を共にし、お昼ご飯を食べるお店まで毎日ほぼ同じというように、同じ流れと風景の中で過ごしている人もいるでしょう。
私も会社勤めの頃は、これと似たようなところがありましたが、独立してからは、お客様によって仕事内容は違いますし、それが保証されるのは契約に応じた期間だけになります。収入も変動しますが、これは少ないというネガティブな話だけではなく、急激に増えるようなポジティブな場合もあります。
会う人も行く場所も、行動する時間帯も毎日違い、予定できないことや安定しないこと、違うことの比率が圧倒的に多いです。
そんなことから、「予定外の中に幸運がある」と感じやすいのかもしれません。
「“幸運”や“成功”は予定外のことから生まれる」ということを逆説的にとらえれば、「予定されていることを減らせば、幸運や成功に出会う確率が増える(かもしれない・・・)」ということです。
毎日同じことを繰り返していると、その中で想定される範囲のことしか、身の回りでは起こらなくなります。その安定や無難ということが、その人にとって望ましいことならば、それはそれで良いのかもしれません。
ただ、“幸運”や“成功”というのは、「“いつもとは違う良い出来事”が身の回りに起こること」です。そんな“幸運”や“成功”に出会うためには、あえて「予定されていないいつもとは違う行動」をとることも必要なのかもしれません。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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