- 三島木 英雄
- 株式会社FPリサーチパートナーズ 代表取締役
- 神奈川県
- ファイナンシャルプランナー
対象:年金・社会保険
2017年1月より確定拠出年金に3号被保険者(主婦など)も加入できるようになります。
実質20歳以上の国民全員が加入できるようになります。制度に関しては複雑な点もありますが
メリットデメリットをしっかり理解しておく必要があります。
3つのメリット(個人型)
確定拠出年金(個人型)でのメリットは大きく3つです。
メリットの横にはそれぞれが与えるお得度合いを個人的に書いてみました。
・掛金が全額所得控除 80%
・運用益が非課税 10%
・受取時は「公的年金」「退職金」扱いの所得控除 10%
掛金が全額所得控除のメリットは非常に大きく、確定拠出年金の加入メリットの
大半を占めると言っても過言ではありません。
所得控除のイメージは下図に表しました。
図で見てわかるように、月8万円程度で96万の年収
すなわち配偶者控除が受けられる範囲内で働いている方にとっては「所得控除」するものが
すでに無いため、掛金でのメリットが出ません。
一方で年収129万までの配偶者特別控除の範囲内の方は控除できるものが出ます。
年収129万で「基礎控除」「給与所得控除」を差し引いて課税所得が26万円の場合
そこから「確定拠出年金の掛金」で所得控除でき課税所得はゼロとなり
メリットが発生します。
夫の所得から控除できない
制度スタート当初は妻の確定拠出年金の掛金は夫の所得から控除できない予定です。
これでは年収96万のパートの妻はメリットがあまりありません。
将来的に配偶者控除の制度自体が見直しされる可能性がありますが、その際には
妻の掛金は夫(夫婦)の所得控除として使えるようになると思われます。
※平成28年9月17日現在で決まっている事項ではありません。筆者の独自見解です。
運用益非課税と受取寺の優遇は軽微
残り2つのメリットは「おまけ」程度に考えておくと良いでしょう。
運用益の非課税は「利益」があれば初めて意味があります。
運用がマイナスの場合は勿論メリットはありません。
受取時の優遇は「一括で受け取れば税金は掛からない」というイメージです。
年間40万の所得控除があり、確定拠出年金に加入していた期間が将来所得控除に使えます。
3号被保険者が拠出できる金額は年間27.6万なので、相当な利益が出て年金資産を大きく
増やさない限り「27.6万<40万」1年あたりの所得控除の方が高いためです。
3号分割対策には意味あり
夫婦が離婚した際に、夫の公的年金のうち「厚生年金」部分を
妻に分けることができる「3号分割」という制度がありますが
夫名義の確定拠出年金は3号分割が出来ません。
熟年離婚も増加しており、将来的に自分の名義の年金を確保するという意味で夫婦それぞれの
名義で確定拠出年金を使いためておけば、将来的な年金分割での妻側のリスクは軽減できるかもしれません。
このコラムに類似したコラム
自分年金は必須時代に「確定拠出年金」を理解しよう 三島木 英雄 - ファイナンシャルプランナー(2014/04/07 17:36)
メールマガジンアップしました『ゆとり生活への道しるべ』 寺野 裕子 - ファイナンシャルプランナー(2013/11/30 17:57)
確定拠出年金(401K) 運用するための基本のキホン 田中 佑輝 - ファイナンシャルプランナー(2012/05/11 03:38)
支払った厚生年金の半分は妻に!厚労省、3号被保険者制度改正へ 平 仁 - 税理士(2011/09/29 17:27)
個人型確定拠出年金と個人年金、どこが違うの? 伊藤 誠 - ファイナンシャルプランナー(2011/07/28 19:55)