【パッシブ発想に基づく省エネルギー住宅−8】・・・低炭素住宅について
最後に「低炭素建築物認定制度」という新たな取り組みにふれます。日本における住宅の省エネルギー施策はこれまで高断熱化、高気密化に集中してきました。しかし地球温暖化防止のためには住宅の環境負荷を総合的に
低減することが急務であることから、この制度はつくられました。認定を受けるには、住宅内の総エネルギー消費量を基準値以下にし、加えて「低炭素化に資する措置」を講じる必要があります。認定を受けると容積率の割増しや税制面での優遇などのメリットがあります。この制度で興味深いのが、アクティブだけでなく、パッシブシステムも評価の対象になっている点です。太陽光発電など住宅でエネルギーを作り出したり、最適なエネルギー使用をコンピューターで制御するというような最先端の技術とともに、緑化や雨水利用などが「低炭素化に資する措置」として認められています。さらに、木造住宅であるだけで、低炭素化に寄与したことになります。木が育つ時に吸収したCO2と燃焼廃棄された時に発生するCO2はバランスされるので新たなCO2発生とは見なさないという「カーボンニュートラル」という考え方に基づく評価です。木という自然材を生かすことがそのまま環境保護につながるという点で、パッシブな考え方と結びつくと思います。また住宅の長寿命化もそれだけで「低炭素化に資する」と認められます。建物の解体廃棄による環境負荷は大変大きいのです。建物を長く使い続けようという「もったいない」の感覚は、地球環境を救う大きな手立てになるのです。今後、身近な自然の恵みを生かした家づくりが広がり、地球にやさしい社会が実現していくことを願っています。【終】
このコラムの執筆専門家
- 西島 正樹
- (東京都 / 建築家)
- 西島正樹/プライム一級建築士事務所 建築家
一人ひとりの生き方と呼応し、内面を健やかに育む住宅を
家づくりを大切に考えることは、生き方を大切に考えることにつながるのではないでしょうか。一人ひとりの生き方、考え方に呼応してこそ、住む人の心を育む建築空間が生まれます。この世にひとつだけの家づくり。ぜひ、ご一緒できればと願っています。
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