さすがにこの風潮は薄れてきていますが、それでも利幅の少ないビジネスに、多くの会社が甘んじていることは確かです。こんなことをしていると、外資系企業が参入したり、日本企業でも巧みな価格戦略を駆使されますと、従来型小企業は無抵抗で退場させられる時代です。起業する人は、価格に関して真剣に学ぶ必要があります。
昨年、「儲けの9割は値決めで決まる!」と言う本が、中経出版から発売されました。著者の西田順生さんは、収益改善コンサルタントで、技術士の人です。そのため、掲載内容のモデルは、製造業での話が中心になっています。興味のある人は、是非買って読んで欲しいのですが、ちょっと触りを紹介します。
日本の中小企業の場合、社長をはじめ社員も価格に対する関心が低い。その典型例は、製造業などで設計やスペック変更があっても、大半の会社ではタダで対応してしまう。社長の知らないところでは、営業マンの値引きを当然のように行っている。全社的に、価格をテコに利益を少しでも上げようとする真剣さがない。
長いこと低い利益率で甘んじていると、会社は債務超過に陥ることになります。当然と言えば当然ですが、この当たり前のことに気付かない会社が多過ぎると西田さんは言います。もし、起業のときにこの低い利益を改めようとするなら、最初の値決めの時に後々のことを考え、お客さんに不信に思われない仕組み作りを考えることです。
起業のときには値決めを行いますが、8割以上の経営者はライバル会社の価格を参考にした値決めです。自社のポリシーを盛り込んだ値決めをする経営者は、ほんの一握りの人だけです。値決めに関しては、見落としやすいポイントですので、今一度考えてみてください。
【一言】
値決めは、起業家とお客さんとの駆け引きの勝負。初めて起業した人の場合、あまり深く考えずに値決めして、後から後悔することが多いです。深く考えた人にしても、原価に利幅をプラスする程度で、商品やサービスの市場での評価や需給までは考えません。もっと高くしても売れると思われ商品がいくらでもあります。消費税も上がることですから、よく考えて値決めをしてください。
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