- 辻 良史
- 筑波大学発ベンチャー(株)サイバー・ヨガ研究所 代表取締役
- 東京都
- 博士(体育科学)
火の呼吸で一生負けない脳をつくる無敗脳ヨガ道場の辻です.
世界の多くの人たちがヨガを学んでいます.
そのうちの90%以上がスポーツ的なヨガです.
スポーツ的なヨガとは,他の生徒さんやインストラクターときれいなポーズを競い合うためのヨガです.
つまり戦う相手がいてポーズの優劣を競い合うためのヨガです.
ヨガは自分自身と向き合い,自分の弱さを克服するための最高のメソッドです.
しかしそれが上記の例のように,相手と戦ってしまっては,何のためのヨガか分かりません.
自分の内面と向かい合う行為が,脳の特定部位の神経細胞を強化させるからです.
先日もあるスタジオの生徒さん同士の会話で
「あなたは○○のポーズができていいわね」
「あなたも○○のポーズお上手じゃないですか」
という会話がなされていました.
私はその時の生徒さん同士の会話でこのスタジオではどういうレッスンが行われているのかがだいたい把握できました.
これ自体は悪いことではありません.
身体の柔軟性は増しますし,筋力もそれなりにつくと思います.
しかし,それがヨガの全てと思われてしまうのは少し残念な気も致します.
また,坐禅のように心の強化のために取り組んでいる方も多いと思います.
ただ残念ながら,アクロバティックなポーズができても,それはメンタルの強化にはつながりません.
むしろ意識が身体の外側に向いてしまいますから,内面の変化に気づくのは困難といえます.
私なら簡単なヨガのポーズでわざと雑念が生まれやすい状況を作り出します.
これは,日常生活により近い形です.
では,ヨガのポーズがいらないかというとそうではありません.
ポーズを用いることで,ポーズを行う前,行っている最中,行った後の心身の変化を感じていくのです.
実は,簡単なポーズほど刺激がマイルドで難しくなってきます.
逆に腕立て伏せのように腕を曲げて伸ばすようなポーズの場合は,肉体への刺激が強く,その変化が感じやすいといえます.
誰にでも無理なく行えるヨガの方が実はメンタル的には難易度が高いのです.
これは,一般的なイメージとは真逆といえます.
…どうすればメンタルが鍛えられるのか?
それには自分としっかり向かい合い,
安静状態での自己コントロールにはじまり,やがてストレス環境下でもリラックスできるようになることを目指します.
毎日の,呼吸法とヨガ,そして実践形式でのトレーニングが必要になってきます.
「400戦無敗」の格闘家ヒクソン・グレイシー は,大きい相手に押さえつけられた状況を想定し,
カーペットで自分の身体をぐるぐる巻きにし,わざと呼吸が苦しく,身動きが取れないストレス環境を作り出してトレーニングを行っているそうです.
こういった日々の地道なトレーニングのおかげで,最悪な状況下でも冷静さを保てられるようになるのだと思われます.
人間はストレスに対しても適応していく習性を持っていますので,これはシンプルながらとても効果のあるトレーニングといえます.
そして,吐く息を長くした腹式呼吸のトレーニングをしっかり行うそうです.
これはリラクセーションのためのトレーニングですね.
あとは,ご本人がおっしゃっていましたが,
息が上がってスタミナが切れそうになってもすぐに回復できるようにペースの速い呼吸法を練習後の息が上がった状態で5分程行うそうです.
実践を重んじるヒクソンは,リラクセーションだけでは足りず,
様々な実践を想定したストレス耐性トレーニングの重要性に早い段階から気づいていたのだと思われます.
16才からヨガを行っているそうですし,
自分ほど実践を想定したメンタル・トレーニングを深く追求している格闘家はいないと書籍の中でも触れていました.
メンタルとは何か?
どうすれば強くなるのか?
こういった部分の基本的な考え方,真実はそれほど多くはないと思います.
それは最新科学の知見であったり,何千年というヨガ行者の教えだったりします.
しかし,今の世の中,あまりにも情報が多く,学ぶ側が大変だと思います.
もし,私自身がメンタルの強化を目的にヨガに興味を持ち,いざはじめようと思った際,一体どの流派のどの先生に習えばいいのだろうか?
きっと悩むと思います.
本気で取り組めばやがて自分の目的を満たしてくれる良師との出会いが待っているかもしれませんし,最悪出会えないかもしれません.
ヨガでは,引き寄せの法則が働くとも考えられ,私自身の経験からもそのあたりは本当に「縁」だと思っています.
仲間,指導者,パートナー…いずれにおいても大切なのは,「円(¥えん)」より,「縁(えん)」の関係性です.
そして,ヨガを行う際は,是非とも,相手と戦う「怨(えん)」の心を捨ててみてください.
東京都 港区 田町【無敗脳ヨガ道場】辻でした.
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