今回の騒動の発端は、TDL系ホテルのレストランが5月に、「車海老ではなく、ブラックタイガー」、「和牛ではなく、国産牛」、「地鶏ではなく、国産鶏」を使用していたことをHP上で発表したことから始まっています。問題のメニューを食べた人には、1千円払い戻すことで決着しようと考えました。
この発表が公になると、大手飲食店では大変な騒ぎになっていたことは想像できます。前回、07年の船場吉兆などを頂点とする偽装事件のときは、従業員から密告によって、消費期限切れ商品を販売していたことが明るみになりました。今回は、企業側の自主的な情報公開によって、メニュー偽装が公になっています。
来年4月からは消費税増税がスタートしますから、価格据え置きのままでは不信感をもたれそうです。お客さんの目は、これまで以上に厳しくなります。このところの景気上昇で、お客さんに芽生えている「高くてもいいモノを求める心理」に水を差すことになりそうです。お客さん心理には、注意深い対応が必要です。
このようなときには、お客さんとのコミュニケーションをこれまで以上に密にすることが大事です。飲食店にとっては、ますますの情報開示を求められていると考えた方がよいです。その結果として、お客さんとのコミュニケーションに成功している人気店と、不人気店との2極分化が今まで以上に進みそうです。
現在のようにお客さんの不信感が強くなっているときは、逆にお客さんの心を掴むタイミングでもあります。社会の流れに逆らってビジネスはできません。今回のようなメニュー偽装問題をきっかけに、お客さんを味方にできるか、見捨てられるか、まったく蚊帳の外か、が決まります。大手ばかりでなく、大半の飲食店にまで淘汰の嵐は吹き荒れそうです。
【一言】
今年の暮れの忘年会は、リーマンショック以前の、07年暮れ以来の盛り上がりが期待されています。実際の予約状況も、首都圏では上々の滑り出しと言われていました。メニュー偽装が足を引っ張らないと良いのですが、やはりお客さん心理としては、ステーキに牛脂を注入した肉を提供していた店は敬遠したくなります。全ては、お店とお客さんとの信頼だけを頼りに来店してくれるわけですから、それを裏切るとお店はただの椅子とテーブルのスペースだけになります。
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