祖父母は、母親抜きでデパートやかばん屋に行って、子ども本人の好きなランドセルを買い与えます。大都市では、子どもの両親が買いますから、ランドセルを選ぶのは子どもではなく、両親です。誰がランドセルを買うかによって、売れ筋の商品の価格もモデルも違ってくると言われています。
今、飲食店でも、小売店においても、誰がお客さんなのか、デリケートで大事な問題が広がっています。料理などでも、「口に合わない」といった台詞をよく聞くと思います。飲食店で出す料理は、プロ仕様で味付けを少し濃くしています。実際、美味い不味いの境目に味付けの濃さがあることは確かです。
高齢者などは、この濃い味付けが口に合わないのです。歳をとると、インスタント食品を食べなくなりますが、日ごろ体力を消耗していないため、濃い味付けにはついていけません。そのため、生活に余裕のある高齢者層を、多くの飲食店は遠ざけてさせていることになります。子どもも、あまり濃い味は好みません。
万人に好かれる味を求めるのは、大手の会社の経営戦略です。彼らは、年間数十億円、数百億円の売上げを上げるため、手間のかかる高齢者や子ども向けの料理を考えることはありません。逆に考えますと、彼らが相手にしていない市場にも、それなりのお客さんがいることになります。食べものなら、アレルギー対策の食品などもあります。
漫然と、店の前を通る通行人は、全て自分のお客さんなどと考えていますと、お客さんニーズが細分化している現代のビジネスでは置いてきぼりを食らいます。自分が相手にするお客さんをしっかり絞り込んで、そのお客さん向けにビジネスを展開することが、厳しい競争で勝ち残る方法のような気がします。
【一言】
介護ビジネスでは、利用者と意思決定者が違うことがあります。施設を利用するのは高齢者でも、その施設を選ぶのは子供であるようなケースです。利用する当人が選ぶようなケースもありますから、お客さんが誰なのか間違えないことが大切です。背広を買うときなど、夫婦で来て奥さんが決定者と言うことも少なくありません。そう考えると、販売の接客現場で、対応するスタッフの力量は大事です。
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