実務での検証⑤~共同事業の付加価値について
不動産取引といっても実質は人と人の取引です。
そこには利害や不安の感情が存在しており、取引する双方にとって
利益を追及できるに越したことはありません。
またときには一人が所有する土地ではできなかったことが、複数の
所有者が協力し合うことでプラスアルファの大きな付加価値を生み
出す場合があります。
ところが、世の中には色々な感覚の人がいて、相互の利を論じる際
にも不信感が先立ち、他人のことを色眼鏡で見る癖から離れられな
い人もいます。
確かに世の中には詐欺師もいますし犯罪も後を絶ちません。そして
天災等により予期しない事態に陥ることもあるのは事実です。
実務を遂行する上では、隣接する土地が連係して初めて利用価値が
高まるようなケースに遭遇します。
個人が所有する土地の形というのは大小、不整形と様々です。
よく言う「うなぎの寝床」といわれる細長い土地で、特に南北に長
い地形の場合は住宅として利用する際には弊害が多く存在します。
またそれらの土地に借地権が付着していたり、不適合接道の土地が
あったりすると単独での利用が大きく制限を受けることもあります。
しかし、これらの土地の多くは共同開発をすることによりマイナス
部分を補いお互いの付加価値を高め合う可能性が強まる場合が出て
くるのです。
旧市街地に高層マンションを計画する場合などによく見かけられる
ものですが、様々な地権者の集合体として等価交換等の手法を用い
て一つのプロジェクトが成立する場合がこれに当ります。
但し、既に再開発された区画に挟まれて旧態然とした家並みが残る
区画が存在している場合のこれらの地権者にはそれぞれの思い入れ
や考え方があり共同開発という実現に至らないケースがあります。
これらの地権者との交渉事に当るとき、決まりごとの様に共通した
ある感覚を抱きます。
不動産取引において「騙される」「他人の儲けの手助け」という払拭
し難い一種の偏見に似た感覚で判断されることです。
単独での利用価値に対して共同開発での付加価値をハナから信用で
きないという否定の思い入れがあることです。
もっと大局的に判断して貰えればいいのになと思うのですが、同時
に不動産業という職種が植えつけてきた負のイメージを強く感じ、
職業として携わる面での責任を覚える瞬間でもあります。
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