利益がどのくらいになるか、このままでいくと年商はいくらくらいになるかなど、「捕らぬ狸の皮算用」ばかりに頭が向かいます。本来なら、開業時には起こるかも知れない落とし穴や、発生が予測される問題に目を向けなければいけない時期なのに、そちらまでには気が回りません。
特に、最初の起業では知っておかなければならない問題の一つに、事務所や店舗など借りた物件の後始末があります。廃業なり、閉店して退去するとき、物件は原状回復して返す必要がある場合です。開業で内装に多額の資金がかかりますが、閉店でも内装を取り払うのに費用がかかります。
しかも、その金額がバカになりません。経営者によっては、原状回復の費用を捻出できないため、赤字なのに閉店さえできない人さえいます。このような状態に陥りますと、最後はそれこそ夜逃げするしかなくなってしまいます。もう、冷静な判断をする頭の機能は失われてしまいます。
起業のときには、コンサルタントにしろ、起業支援の関係者にしろ、そして起業家自身もメリットばかりを口にします。ただ、世の中メリットがある以上は、デメリットもついて回ります。特に起業において、デメリットに目を背けていては大きな失敗を犯すことになります。
不動産屋を通じて事務所や店舗を借りるときは、賃貸契約を結ぶ前に原状回復に関してよく確認をしておくことです。一度目の起業でも、準備期間を取り多くの情報を集めておくと、無駄な失敗はしないで済みます。最初の起業では、二度目の起業をすることのないよう、お呪いの意味も含めて原状回復を確認するとよいです。
【一言】
「デフレの正体」を書いた藻谷浩介さんは、生まれた世代によって、消費行動に大きな影響を及ぼすことに気付きました。起業のメリット、デメリットに関しても、世代によって慎重な世代と、緩い世代があるような気がします。これは個人の人生にも寄りますが、今のロスゼネと言われる若い世代はとても慎重です。起業では、その点が長所にも欠点にもなります。
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