- 辻 良史
- 筑波大学発ベンチャー(株)サイバー・ヨガ研究所 代表取締役
- 東京都
- 博士(体育科学)
火の呼吸で一生負けない脳をつくる無敗脳ヨガ道場の辻です。
呼吸法が自律神経に良い影響を与えるのは周知の事実だと思います.
しかし,なぜ呼吸法が自律神経に影響を与えるのか?
そのメカニズムについて語るとなるととても難解です.
自律神経とは別に,セロトニンと呼吸法の関係について述べている書籍も多いですが,私はあまり関連性がないと思っています.
脳内ホルモンは様々なものが複合的に働いており,セロトニンだけに特化するのは無理があるからです.
セロトニンが不足していると,うつなどの症状を引き起こすと推測されていますが,
セロトニンの量を一定に保つSSRIなどの薬を投与しても一向にうつ患者の数は減っていきません.
むしろ増加傾向にあります.
つまり,うつ患者におけるセロトニン不足は結果論であり,
セロトニンの分泌に異常をきたしているどこかのシステムにトラブルがあると考えた方が自然だと思います.
最近は,セロトニン仮説以外に,ドーパミンに関する遺伝子のトラブルという見方も強まっています.
呼吸法に関しては,規則正しい腹式呼吸を行うとセロトニンが増えるということですが,セロトニンの9割は「腸」でつくられます.
「脳」で作られるのは1割未満です.
気分に影響を与えているのはもちろん脳内でつくられたセロトニンの方です.
尿中や血中からのセロトニン量を測定した場合,体内で混ざり合うため,
脳で作られたものなのか,腸で作られたものなのか厳密に判断することが困難です.
肝臓での代謝量の違いなどから分析する方法もあるみたいですが,医学分野でもマイナーな方法だといえます.
呼吸法による気分変化は,脳波,自律神経変化による影響です.
そのメカニズムは,呼吸のペースが変化することで,体内のガス分圧が変化することによって生じます.
体内のガスの量が変化すると,延髄の呼吸中枢が刺激を受け,
心臓の迷走神経(副交感神経)に信号が送られ,自律神経系に影響がもたらされます.
ここら辺のメカニズムは様々な要因が絡んでおり,説明すればするほど難解になってきますが,
ざっくり説明するとこのような感じになります.
メディア等に載せる場合,インパクトが必要になり,「副交感神経の働きだけを強めれば!」とか,
「セロトニンさえ増やせば!」という記事は多いですが,「○○だけ」というのはダイエット同様に無理な話といえます.
人間の生命維持,ホメオスタシスに関するシステムは様々な要因が絶妙に絡み合って成り立っているからです.
変な情報には惑わされず「今ここ」に集中しましょう!
東京都 港区 田町【無敗脳ヨガ道場】辻でした.
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