労働者災害補償保険法、労災民事訴訟 - 労災認定 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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労働者災害補償保険法、労災民事訴訟

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労働者災害補償保険法、労災民事訴訟

 

1、労災認定

労働基準法第8章→労働者災害補償保険法

強制加入(後日、加入してもよい)

療養給付(現物または金銭)は全額支給。なお、健康保険は本人が一部負担。

休業補償給付は給付基礎日額の6割+特別支給2割。

後遺障害給付は、年金(7級以上)、または、一時金(8級以下)

労働者死亡の場合、遺族に対する葬祭料、一時金、年金+特別支給金

なお、4日以上休業する場合、労働基準監督署に「私傷病報告」を提出(労災隠しの防止)

労災申請書の「事業主の署名」欄についての協力

 

労働者災害補償保険法の手続・行政訴訟

労働基準監督署長→(60日以内)→労働者災害補償保険審査官→(60日以内。)→労働者災害保険審査会→(なお、3か月を経過しても裁決がない場合、行政訴訟を提起できる)→各地の地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所

不服の対象は労働基準監督署長の処分(原処分主義)である。

 

「業務起因性」

発症前おおむね6か月に業務による心理的負荷があったこと

恒常的、長時間、過重な労働

業務以外の原因ではないこと(業務上外心理的負荷評価表)。例えば、過重労働以前からの精神疾患、アルコール中毒など(民事訴訟での素因減額)。

平成23年12月に、新しい「心理的負荷による精神障害の認定基準」

最高裁平成12・3・24判決、電通過労自殺事件(損害賠償請求訴訟)、安全配慮義務。最高裁で過失相殺はゼロとされた。

業務上の場合、労働基準法19条1項により解雇禁止。傷病手当、会社の場合、最大1年半(会社によって期間延長あり)。国民健康保険の場合、なし。

業務外の場合、傷病手当なし。私傷病として、休職期間満了により退職。

 

 

時効は2年(労働者災害補償保険法42条)。ただし、療養継続中であれば、労災申請時から遡って2年は請求可能。

また、傷害給付、遺族給付の時効は5年

 

 

 

 

2、労働者災害民事訴訟

使用者の安全配慮義務(最高裁昭和50・2・25自衛隊ヘリコプター墜落事件、債務不履行責任)、時効は10年

 

ただし、安全配慮義務には、道路交通法で運転者が負う注意義務は含まれない(最高裁昭和58・5・27)。

 

和解すべき債権者は本人・相続人である。労働者災害補償保険法の「遺族」ではない。

和解に際して「労働者災害補償保険法の給付とは別に」という条項を入れる。

労働者災害総合保険の加入の有無。

 

会社と加害者の弁護の同時受任は利害相反のおそれ。

 

証拠

業務日報

現場の状況を撮影した写真、動画

私傷病報告書

労働基準監督署の収集した証拠(関係者の聴取諸など)、指導文書

進行協議期日での現場確認、または、検証申立て

 

 

過失相殺後の損害賠償額から同一の損害賠償費目について損益相殺(最高裁平成1・4・11)。例えば、特別支給金、口頭弁論期日終結時までの実際に受領した労働者災害補償保険法に基づく給付を控除する。将来の給付は控除しない。

使用者の支払猶予の規定(労働者災害補償保険法64条)に留意する。

 

会社によっては、上積み補償規定がある場合があるので、確認が必要である。

 

 

 

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