小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「「満足」ばかり求めると「不満」だけが残る」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
ユニティ・サポート 代表
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「満足」ばかり求めると「不満」だけが残る

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え 2022-03-10 07:00

 最近は、社員の能力発揮や人材流出の防止、職場の活性化などを目的に、「従業員満足(ES)」に力を入れる企業が増え、その一環として福利厚生の充実を図る企業も多くなっています。

 

 慶弔や社内親睦、健診ほか健康管理などの一般的なものだけでなく、社員食堂をすべて無料化したり、お酒も飲めるBarスペースを作って社員は自由に利用できたり、キッズルーム設置など子育て支援、食材や食事の援助といったユニークなものもあります。

 

 ただ、こういう取り組みには少し否定的な意見も耳にします。

 これは多くの先進的な取り組みを進める、ある著名な社長の話ですが、例えば社員食堂を無料化した会社を見ていて、初めはみんなが評価して喜んでくれますが、徐々に無料が当たり前の意識になり、そのうち「おいしくない」「メニューが少ない」などと文句をいう者が出始めるそうです。

 

 「客観的に見れば自分たちは相当に優遇されているにもかかわらず、それが当たり前になって不満を言い出すようになることが許せない」、だから「自分は無料にはしたくない」「タダと決まっていて食べるものより、誰かが不意にごちそうしてくれる方がよほどうれしいはず」と言っていました。

 社員の「満足」を求めて良いことをしていても、それが当たり前になってしまうと、そこから出てくるのは「不満」ばかりになってしまいます。一方当たり前になっていない「満足」は、うれしさや好感を持って捉えられます。そういう気持ちを活かしたいから、既得権は作りたくないと言っていました。

 

 「当たり前」という言葉は多くの人が口にしますが、個人の主観によって異なるため捉え方には難しさがあります。さらにその「当たり前」が不足したときに生まれるのは、「不満」の感情しかありません。

 「こんな当たり前のことがなぜできない」と相手を責める感情、「これくらいが当たり前」と今の環境が優遇されていることに気づかなくなる慣れといったことです。

 

 組織運営の中での様々な施策を考えたとき、「当たり前」という既得権の意識は、多くの場面で障害になります。毎回高い人事評価を受けていることが当たり前になり、良い評価にもかかわらず不満を言う社員、苦労しながら続けている施策が後退した時の不満、上司と部下の間で、お互いの「当たり前」が達成されなかった時の不満など、「それくらい当たり前」という意識から、プラスの感情が起きることはあまり多くありません。

 

 「当たり前」というのはあくまでその人の主観であり、それにこだわっても「不満」しか生まれないことは、意識をしておく必要があります。

 「満足」ばかり求めると、最後に残るのは「不満」だけになってしまうかもしれません。

 

 

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