小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「イチロー選手の「人と比較せず自分の中で少し頑張る」という言葉」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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( 東京都 / 経営コンサルタント )
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イチロー選手の「人と比較せず自分の中で少し頑張る」という言葉

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 目に留まった事 2021-11-11 07:00

 少し前の話になりますが、あるスポーツジャーナリストが書いた記事の中にあった、当時大リーグのマーリンズに在籍していたイチロー選手が、自ら主催している少年野球大会の閉会式でおこなったスピーチの内容がとても印象に残っています。

 

 記事によるイチロー選手の話は、

 「自分のことを人の二倍も三倍も頑張ったと言ってくれる人がいるが、そんなことはできない」

 「頑張るとしたら、自分が限界の時にその中でもう少しだけ自分で頑張ってみる、ということを重ねていってほしい」

 「人との比較でなく、自分の中でちょっとだけ頑張ったということを続けていくと、将来、思ってもいなかった自分になっている。自分もそれを重ねてきたことで、今現在の自分になれたと実感している」

という言葉が、参加していた少年たちに贈られたということでした。

 

 筆者は、「“結果”は自らの証と言えるが、“評価”は第三者が下すものであり、自らコントロールできない“評価”を気にしたり追いかけたりするのではなく、自分がコントロールできることだけに集中するのがイチローさんからのメッセージだ」と結んでいました。

 

 私も別の場所でのイチロー選手の言葉で、「自分にコントロールできないことでも揺れ動く“打率”」ではなく、「自分次第で確実に積み上げていくことができる“安打数”」を重視しているという話を聞いたことがあります。自分でコントロールできることに集中するというところは、今回の話と共通しています。

 

 私が共感して、さらにいろいろ考えたのは、「“評価”は第三者が下すもの」という部分です。

 私の専門分野としてかかわる企業の人事制度では、この「評価」に関する課題は必ず含まれています。

 公正さが担保できないとか、やる気ややりがいにつながらないとか、中身はいろいろですが、これは「評価」の本質を考えれば必然です。最終的には自分の力でどうにもならない他人が決めることを、常に自分にとってプラスととらえられるはずはありません。

 

 評価基準を整備したり、面接で話し合う機会を設けたり、本人の納得性を高めるために様々な工夫をしますが、本人は頑張ったつもりでも、周りとの比較で評価されないことはあるでしょうし、いくら基準を作っても、人間の主観をすべて排除することはできません。

 「評価」というのは、しょせん“他人発”のものでしかありません。

 

 最近は社員を評価で序列化すること自体をデメリットととらえて、評価制度を廃止するという企業も出始めています。そういう企業での人材に対する考え方は、まさにイチロー選手の言っていることと同じです。

 これまでの評価制度の考え方であれば、「基準レベルに達しないから評価できない」となっていたところを、例えば、全然できなかったことが少しでもできるようになれば、それが簡単な仕事だったとしても、能力が増したことは会社にとって十分な貢献にあたるので、その結果をきちんと認めようということです。

 

 人材マネジメントの流れは、徐々に個別化の方向へ進んでいます。個人に合った目標とプロセスで、「今よりも少し良くする」という取り組みです。手が届く「ストレッチ目標」に継続して取り組むということです。

 

 企業の現場で進み始めた取り組みからも、あらためてイチローさんの思考の確かさに感心しています。

 

 

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