小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「「自分の当たり前」が相手には新鮮なことがある」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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「自分の当たり前」が相手には新鮮なことがある

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 目に留まった事 2020-09-22 08:00

 最近はコロナ禍のせいで、外国人観光客をほとんど見かけなくなってしまいましたが、あるウェブコラムに、日本流のおもてなしは、必ずしも外国人観光客に好評ではないという記事がありました。

 日本で提供されているツアーには、観光地をめぐってお土産を買うというパターンがあまりにも多く、「体験が少ない」のだそうです。

 日本人は、その場所へ行ったという事実が重要なので、写真を撮ってお土産を買えばだいたい満足しますが、外国人はそこでしかできない体験がしたいといいます。

 

 この記事では「わさびのすりおろし体験」への反応が紹介されていて、海外でも寿司などを通じてわさびが食べられるようになっているものの、ほとんどが粉わさびなので、本わさびの味はもちろん、わさびの原型を見たこともなく、おろして使うことも知らない人が大半だそうです。

 

 そういう人たちにとって、わさびを実際におろして味わう体験は、びっくりするほど盛り上がるといいます。鮫皮のおろし金は見たことがないし、おろし方も知りませんから、そういう一つ一つのことの解説を聞きながら体験することで、みんなが興味津々だそうです。

 

 日本人にとっては、そこまでめずらしいことでも面白いことでもない、自分たちにとってはわりと当たり前のことなので、こういうことを体験させようという発想は、なかなか出てこないのでしょう。

 

 「相手の気持ちになって考える」といいますが、特に自分にとって当たり前のことを、思い込みを持たずに相手に合わせるというのは、実際にはなかなか難しいことです。

 

 同じようなことは、私の仕事上でもときどきあって、例えば、私はすでに一般的に普及した知識のつもりで話をしていても、それは初めて聞いた新鮮な話題だという反応をされたり、これくらいは知っているだろうと思っていたことが、全然通じなかったりということがあります。

 反対に、相手方の業界では常識レベルの話を、私があまり理解できなかったということもあります。

 

 これはある大学の先生から聞いたことですが、最近は入学してくる学生の学力レベルのバラつきが大きくなっていて、「これくらいは知っているだろう」という前提で授業を進めることはできないと言っていましたが、これも同じようなことかもしれません。

 

 これらのことを避ける方法を考えてみましたが、結局はプロ、専門家、ベテラン、上級者など、そのテーマにより精通している側が、「相手も知っているだろう」という予見を持たずに、コミュニケーションをとることに尽きるということです。

 自分が一般的だと思っていることでも、情報提供してみると相手にとっては意外に有用な情報だったり、相手にとっては常識的なことでも、自分は理解できなかったりします。もしわからなければ、相手に聞くしかありませんが、初めからわかりやすく伝えてくれるのは、理解するには一番ありがたいことです。

 

 日本は、伝える努力やスキルがなくても、お互いに相手の意図を察しあうことで、なんとなく通じてしまう「高コンテクストな環境」だと言われ、俗にいう「あうんの呼吸」に依存しがちです。

 しかし、ダイバーシティやグローバル化が言われる中では、コンテクストに依存せずに、きちんと言語でコミュニケーションを図ることが一層大事になっていきます。世代間ギャップなどでも同じでしょう。

 外国人が喜ぶ本当の「おもてなし」も、こんなことから生まれてくるのではないでしょうか。

 

 

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