上津原 章
ウエツハラ アキラグループ
生前贈与は意味があるのか?
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相続税と贈与税の税制改正に向けて、
政府税制調査会で重要な話が行われています。話の中には、いわゆる110万円贈与(暦年贈与の場合の贈与税非課税枠)の制度を変えることも出ているようです。国が借金返済をするためにお金をどこから引っ張るか考えている様子がうかがえます。ただ、贈与税と相続税とを完全に一体化すると、親から子、親から孫へといった資産の移動(生前贈与)がしづらくなります。十分な預貯金がない現役世代がお金を使わなくなり、不景気になるかもしれません。国もその点はわかっていると思われますが、生前贈与をやりすぎる方もおられますので何らかの変更があるかもしれません。
どのような時に生前贈与が有効かを突き詰めて考えると、
・受け取った資産を有効活用できるか
・受け取った資産の価値が将来増えるかどうか
に集約されるように感じます。
例えば、銀行預金を子に贈与した場合で考えてみます。
110万円を預金のまま何十年も放置していても、預金残高が2倍になるのには何千年もかかってしまいます。親が資産運用をしていて過去10年間で2倍にふやしていたのであれば、20年で4倍になります。たとえ相続税で55%(現在の最高税率)を納税しても20年で資産価値が1.8倍になっています。子や孫に何も考えずお金を渡すくらいなら、知恵を授けてお金を渡さない方がよいでしょう。
中小企業の経営者が子や孫の世代に引き継ぐときも、
出資持分(自社株)を110万円分贈与することがよく行われます。こちらについては、期限付きですが、110万円分の贈与よりももっと良い方法があります。ただ、事業計画を書くのが苦手な経営者や、後継者を決めきれない経営者は良い方法を使うことができません。
相続税が節税になるかどうかというのは、
贈与の当事者にとっては大切かもしれませんが、相続税がいくらかかるかもわからないままに実行するのは得策ではありません。生前贈与をするにしても、損得だけで考えず、ご自身や家族や会社のこれからについて考えるライフプラン的発想が欠かせません。いつでもご相談ください。
義父からの形見の腕時計です。
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