対象:企業法務
私は、個人でグラフィックデザインをしております。企業ロゴや店舗のロゴ、ブランドや商品名のロゴなどをデザインした場合の請求金額をデザイン料のみとし、著作財産権は無料で譲渡しておりましたが、料金体系を見直すにあたり、この著作財産権を有料で売り切りにしたいと考えております。つまり、デザイン料とは別項目を立て、
「著作財産権譲渡費用」などという項目で料金をいただくようにしたいと考えております。デザイン料の中に込みにしてしまうよりも、項目分けをしたほうが、お客様にも納得していただきやすいのではと考えたわけですが、このように、著作財産権を有料で売るという行為は、法的にみて問題ないものでしょうか?
どなたかご教授いただけますよう、よろしくお願いいたします。
ksdesignさん ( 大阪府 / 男性 / 38歳 )
回答:2件
著作財産権の有償譲渡は問題ありません
著作財産権の有償譲渡は著作権法上問題ありませんので、質問者の方がデザインの見積などを出す際に、料金体系の中に、デザイン料とは別に、著作財産権譲渡料を決めておいてもかまいません。
ただ、著作財産権の譲渡を受けることは必要ではなく、ロゴなどの利用のライセンスでもよい、という希望をいう会社も出てくると思います(契約実務的には日常的に起こります)。ですから、料金体系に著作財産権の譲渡だけではなく、ライセンスの場合の料金体系も決めておくことがよいと思います。
また、著作財産権の譲渡契約の際には、相手方企業から著作者人格権の処理の問題(著作者人格権は譲渡できないので、譲受人自身に行使をしないという不行使特約)も要請されますので、留意しておくことがよいと思います。
フランテック法律事務所 弁護士 金井高志 [[http://www.frantech.jp]]
回答専門家
- 金井 高志
- (弁護士)
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河野 英仁
弁理士
1
権利の譲渡
ご質問に対し以下のとおりご回答申し上げます。
2010年1月19日
河野特許事務所
弁理士 河野英仁
ご記載いただいた料金項目をたてていただいても問題ございません。原則としてデザインを行ったものが著作者であり著作権者となるからです。また著作権は譲渡可能だからです。しかしながら、企業Aが貴社にデザインを依頼する際、「貴社がデザインした著作物の著作権は企業Aに属するものとする」等の契約がなされることが通常です。従って実際にはご提案の請求項目を設定することは困難と考えます。
なお、商標権につきましては特許庁による審査を経て登録して初めて商標権が発生しますので、単にデザインした段階では対象となる権利が存在していないことになります。
ご参考条文
著作権法
第2条第1項第二号
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
著作権法
第61条
著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
商標法
第18条
商標権は、設定の登録により発生する。
商標法
第24条の2
商標権の移転は、その指定商品又は指定役務が二以上あるときは、指定商品又は指定役務ごとに分割してすることができる。
以上
(現在のポイント:-pt)
「商標権」に関するまとめ
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