対象:労働問題・仕事の法律
今年1月に輸入雑貨卸の会社を退職致しました。
その際、半強制的に(署名しないと退職できない感じでした)誓約書に署名させられました。
項目中に、
第4条 競合避止義務の確認
私は前条を遵守するため、貴社退職後貴社の許可を得ずして次の行為を行わないことを約束します。
?貴社と競合関係に立つ事業者に就職したり役員に就任すること
?貴社と競合関係に立つ事業者の提携先企業に就職したり役員に就任すること
?貴社と競合関係に立つ事業を自ら開業または設立すること
とあり、期限が設定されていません。
又第5条で、これに違反する場合、これにより貴社が被った一切の損害を賠償することを約束いたします、とあります。
中国の会社と提携して日本の雑貨卸業へ商品を販売する為、個人事業を開業予定です。しかし、多くの会社が卸業と小売業を伴っている為、競合関係に立ってしまいます。営業以外の業務に携わっていたので、退職した会社の販売先は殆ど知らず、ネット等で調べて販売先を探して行く予定ですが、バッティングする販売先も出てくると思います。
事業を開業した場合、損害賠償の対象となるのでしょうか?
ゆえりんさん ( 大阪府 / 女性 / 38歳 )
回答:1件
誓約書の内容に合理性があるかどうかが問題
細かな誓約書の内容が不明なので、一般的な範囲で回答いたします。
競業避止義務は、在職中の労働者には雇用契約に付随する義務として、特に定めがなくてもその義務を負いますが、退職後については、労働者の退職の自由や職業選択の自由等との兼ね合いから、その有効性には様々な要素が絡んできます。
判例などによると、競業避止義務の合理性の判断基準としては以下のようなものがあり、これらの要件を満たしていない誓約書は有効性が低くなってきます。
○ 対象が秘密として管理している特有の情報(公然と知られているものや、他でも習得可能な一 般的な知識や技能は秘密とは認められない)
○ 競業規制を地域的に限定すること
○ 競業規制する期間を限定すること
○ 競業規制に対する代償が有ること(例えば割増退職金など)
また誓約書の内容が明確で合理的なものであるのはもちろん、労働者の自由意志で作成されたものかということも問われます。特に退職時の誓約書は、その内容が客観的に見て労働者に一方的に不利である場合、サインがあってもそれが労働者の自由意志での行為とは判断されず、有効性は低くなります。
ですから誓約書があるからといって何でも損害賠償の対象になるわけではなく、行われた行為が損害賠償に値するのかという合理性を問われることになります。
例えば退職した直後に社員を引き抜いたり、前職であった引き合い案件をそのまま横取りしたりというのは、やはり好ましくないと思います。逆に一方的な要求を受けたとしても、それに合理性が無ければすべてに応じる必要は無いということです。
いずれにしても同じ業界で事業展開していくわけですから、うまく付き合っていくに越した事は無いと思います。特に開業当初は争い事に発展しないように、配慮しながら動いた方が良いと思います。
評価・お礼
ゆえりんさん
ご多忙の折、分かり易く丁寧なご回答どうも有難うございました。非常に参考になりました。
本当にどうも有難うございまいした。
回答専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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